「～中に」と「～までに」はどう違うのか？

＊前回は
　どんな時に「～中（ちゅう）」と読み、
　どんな時に「～中（じゅう）」と読むのかを考えました。

＊「～中（ちゅう）」と「～中（じゅう）」の使い分けを
　知りたい方は以下をクリックしてください。
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中「ちゅう」と「じゅう」の使い分け

 

ここでは
１「どうして午前中は言えるのに、午後中はいえないのか」

２　期間を表す名詞　+　中

　　　意味　　：　「～の終わりまでに」

　「～中」と「～までに」の意味はどう違うのか

について考えます。

１「どうして午前中は言えるのに、
　　　　　　午後中はいえないのか」

ある日の天気予報です。

「明日の午前中まで雨が強く降りそうですが、
　午後以降、天気は回復していくでしょう。」

天気予報では「午前中」
　　　　　　「午後以降」を使っています。

どうして同じ期間を表す名詞なのに、
午前は「午前中」と言えて、
午後は「午後中」と言えないのでしょうか？

前回、
「～中」は期間を表す名詞に付くことを見てきました。

～・～・～・～・～・～・～・～・～・～・～・～

期間を表す名詞　+　中　　　　

例１　：　夏休み中に本を１０冊読むつもりです。

例２　：　午前中に電話します。

例３　：　このレポートは今月中に出してください。

～・～・～・～・～・～・～・～・～・～・～・～

上記の例
「～中」の前の期間を表す名詞、
「夏休み、午前、今月」
の共通点は何でしょうか。
ちょっと考えてみましょう。

（以下は
東洋大学、木村一教授の見解をもとに考えています）　

「夏休み、午前、今月」
この期間を表す言葉の共通点、
どうでしょう。お気づきでしょうか。

期間というのは　
「この時点Aからこの時点Bまで」
のことです。
つまり、
終わりがはっきりしています。

・夏休みの終わりは８月３１日
・午前の終わりは昼の１２時

のように
「～中」は
「終わりがはっきりした言葉につく」
のです。

例えば
「婚約中」という言葉はありますが、
「結婚中」とは言いません。

婚約は結婚すれば終わります。
つまり、
婚約期間は
終わりがはっきりしています。が、
結婚生活の期間は
いつ終わるのかが、はっきりしていません。

 

では
「午前」と「午後」の意味を考えてみましょう。

辞書（広辞苑）で意味を調べてみます。

「午前」：夜の１２時から正午まで。
　　　　　または夜明けから正午まで。

「午後」：正午から日が暮れるまで。

「午前」は
「正午まで」と終わりの時間がはっきりしています。

それに比べ「午後」は
「日が暮れるまで」と終わりの時間が
はっきりしていません。あいまいだと言えます。
事実、日没の時間は
毎日少しずつ変わっていきます。

私たちは
「～中」の前につくのは期間を表す名詞である。
そして
その期間の終わりが、はっきりしている。
と、意識して使っているわけではありません。

しかしながら、無意識のうちに
「午後」は
いつ終わるのかがはっきりしないため、
「午後中」とは言わないのだと思われます。

 

例文の期間を表す名詞「夏休み、今月」も
終わりがはっきりしています。

今月が３月だとしたら、
今月は３月３１日で終わります。
終わりが３１日とはっきりしています。

そこで、「今月中」と言えるわけです。

 

２「～中に」と「～までに」
　　の意味は、どう違うのか　　

 

期間を表す名詞　+　中

　　　意味　　：　「～の終わりまでに」

 

「～中」は現在を意味する
「今日、今週、今月、今年」

未来を表す
「あす、来週、来月、来年」

などの期間を表す（時間の幅を持つ）名詞
について、
「その時間帯を限度として、
その期間内に何かをする、あるいは
何かが起こる」という意味を表します。

例１　：　今週中に面接結果をお知らせします。

例２　：　来月中に営業を再開する予定です。

 

●未来を表す期間の名詞につく「～中に」の用法は
「～までに」と意味が重なります。
たとえば、

例３　：　来週中にレポートを出してください。

例４　：　来週までにレポートを出してください。

例５　：　来月中に引っ越すつもりです。

例６　：　来月までに引っ越すつもりです。

かなり意味が重なっています。

では、
違いに重点を置いて考えます。

＊「～中に」を使った例３例５
　「～までに」を使った例４例６には　
　どんな意味の違いがあるのでしょうか。

例３　：　来週中にレポートを出してください。
例４　：　来週までにレポートを出してください。

考えてみましょう。
ヒント：レポートを提出してもいいのは　いつですか？

 

＜答え＞

例４「来週までに」の方はレポートを
今日提出しても、明日提出してもかまいません。
来週ではなく、今週中に提出してもいいのです。

それに比べ
例３「来週中に」となった場合、
レポートは
今日、明日はもちろん、
今週中は提出してはいけません。

来週になって、初めて提出できるのです。

また、
「～中に」と「～までに」には
「～」の部分、つまり
「中に」と「までに」の
前につく名詞にも違いがあります。

「～中」は期間を表す名詞につくので、
「１２時」や「正午」
のように、時点を表す名詞にはつきません。

✖「１２時中」　　✖「正午中」

しかし、
「～までに」は
〇「１２時までに」　〇「正午までに」

のように、時点を表す言葉にも接続します。

 

前回の

＊「～中（ちゅう）」と「～中（じゅう）」の使い分けを
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中「ちゅう」と「じゅう」の使い分け

 

ではではニゴでした。