「ほしいですか?~たいですか?」の注意点
希望・願望の表現「ほしい・~たい」の質問文について
「ほしいですか? ~たいですか?」の注意点
例(1)友だち1:アンさん、あした、どこへ行きたいですか?
友だち2:そうですね。秋葉原かな。
例(2)アンさんの作ったクッキー、とてもおいしいですよ。
先生も食べたいですか?
友だち同士で使っている例(1)は、全く問題のない文です。
例(2)は、とても失礼な感じがします。
●相手の希望・願望を尋ねる、
「~ほしいですか」「~たいですか」は、
友だち同士なら使えます。
●でも、目上の人や、あまり親しくない人には、
使えません。
例(2)については
例(2’)アンサンの作ったクッキー、とてもおいしいですよ。
先生も召し上がりたいですか?
上記のように、尊敬語を使っても、
やはり、非礼のままです。
英語では「Would you like ~ ?」
という言い方があります。
相手への希望・願望を尋ねる、丁寧な表現です。
そこで、英語話者は、母語の影響から、
目上の人にも、
「~ほしいですか?」「~たいですか?」
と、たずねてしまいがちです。
日本語では、このような問いかけは
失礼であることを、きちんと伝えておきましょう。
文化としての丁寧形
例(2)×先生もクッキーを召し上がりたいですか。
これは、形の上では、間違っていません。
しかし、日本語には
(1)目上の人に「恩恵を与える」ような言い方は
失礼である。(2)目上の人に「ねぎらい」の言葉をかけることは、
失礼である。(3)目上の人を「評価する」ような言い方は、
失礼である。(4)目上の人に、直接希望を聞いてはいけない。
といった、文化的背景にともなう暗黙の約束事があります。
例(1)×「先生、荷物を持ってさしあげます。」
例(2)×「先生、授業、ご苦労様でした。」
例(3)×「先生、今日の授業は とてもよかったです。」
例(4)×「先生、お茶、お飲みになりたいですか。」
言葉は文化そのものです。
文化のない言葉は、
無味無臭で、気持ちが置き去りにされています。
せっかく日本語を学んでくれているのですから、
こういったことを、しっかり伝えていきたいですね。
では、
例(2)×先生もクッキーを召し上がりたいですか。
を、どのように表現すればいいのでしょうか。
これは、「~したいですか」ではなく、
「~はどうですか」と、
勧める表現が考えられます。
つまり、
「先生、お茶はいかがですか。」
「先生も、ご一緒にいかかでしょうか。」
「先生、お茶をどうぞ。」
などを使うといいですね。
●希望・願望の表現「ほしい、~たい」は、コチラをご覧ください。
ではでは ニゴでした。