日本語テキスト第一課「は」の問題
「わたしはジャックです。」の問題点
外国人学習者が、とある会社を訪問したときのことです。
受付嬢に向かって、「わたしは、ジャックです。・・・・」と、
あいさつを始めました。
皆さんはこのジャックさんの言葉を聞いて、どう感じましたか。
「なんか変・・・」と、
思った方は、言語感覚問題なし。
「全然、問題ないと思うけれど・・・」と、
思った方は、長年日本語を教えてきた方かもしれません。
この場面での自然な日本語は、
「ジャックです。・・・」
この学習者は、どうして、
「わたしは、ジャックです。」と、
言ってしまったのでしょうか。
答えは簡単です。日本語のテキストを見てみましょう。
「みんなの日本語」の第一課は
文型1.わたしはマイク・ミラーです。
日本語初級「大地」の第一課は
A:はじめまして。わたしはリン・タイです。どうぞよろしく。
B:わたしはマリー・スミスです。どうぞよろしく。
多くの日本語のテキストの第一課は
たいてい上記の文型で始まります。
ですから、外国人学習者が、自己紹介をするときに
「わたしは、マリーです。」と、
言ってしまうのは、自然の成り行きです。
では次の二つの文は、どちらがより変だと思いますか。
1、「わたしは、マリーです。あなたは、キムさんですか。」
2、「デパートに買い物します。」
普通の日本語を母語とする人は、1の文に
より違和感を感じるそうです。
言語学(認知言語学)の調査によると、
日本語母語話者は、2のような明らかな文法的誤用には、寛容だが、
1のような、不適切な言い回しには、不快感を覚えると
しています。
もし、2の文の方に、より違和感を感じてしまったとしたら、
長年日本語を教えているからかもしれません。
最近のテキストは、より自然な日本語を教えたいと、
「キムです。初めまして、どうぞよろしく。」
と、自然な日本語を使っています。
Tomo塾でも、もちろん自然な日本語の方を採用しています。
こちらに、
A:お名前は?
B:リンです。
の導入方法が書いてありますから、もし、興味がありましたら、
ご覧ください。
>>日本語授業、初日の教え方、2.
ではでは ニゴでした。