「~から」と「~ので」

「~から」と「~ので」の比較

「~ので」(理由)のところでも、
「~から」との比較を書いてきました。
ここで、もう一歩踏み込んで、
「~から」と「~ので」を比較をしてみましょう。

(1)聞こえない(から/ので)、マイクを使ってください。

(2)A:どうしたんですか。待ちくたびれましたよ。
B:すみません。出かけに電話がかかってきた(から/ので)、
いつもの電車に乗れなかったんです。

(1)と(2)、「~から」と「~ので」の
どちらが、自然な文だと感じましたか。

(1)と(2)両方とも、
「~ので」を使った方が、しっくりしませんでしたか。

(1)で「~から」を使うと、頼み方が、自分中心で、自分が聞こえないから、
といった印象を受けます。

(2)で「~から」を使うと、遅刻した責任は、自分にあるのではなく、
電話のせいだと、責任転嫁している印象を受けます。

「~から」は、自分の意見をより主張したいときに使います。
話し手の心情を表すのに、適した表現です。

そこで、お願いするときや謝罪をするときに使うと、
こういったニュアンスが生じてしまいます。

「~ので」は状況を配慮し、
自分の意見として表に出したくない時によく使われます。
そこで、丁寧で、やわらかい表現だと感じます。

(1)聞こえないので、マイクを使ってください。
(1’)聞こえないので、マイクを使っていただけませんか。

大きな会場で、客観的に見て、マイクが必要だと思ったときに、
発言しました。(1)よりも、(1’)の方が、もっと
自然な感じがしませんか。

「~ので」は、丁寧な依頼をするときに、
ふさわしい表現だと言えます。

(1’)聞こえないので、マイクを使っていただけませんか。
(1”)聞こえませんので、マイクを使っていただけませんか。

「から」を使うと、
話す人の意志や考えが強く出てしまうので、
相手に反感を持たれてしまうかもしれません。

そこで、お願いするときには、
「ので」が使われます。

また、「~ので」の前を、丁寧形にすると、
より丁寧な表現になります。

相手に協力を求めるとき、「丁寧形+ので、丁寧形」を使い、
自分の主張ではなく、事情説明のような雰囲気にしてしまうのです。

(3)11時から2時までは、禁煙ですので、ご協力ください。
(4)消費税値上がりにつき、4月1日より、
下記料金になりますので、あらかじめご了承ください。

そこで、会社や駅のホームでよく使うフレーズも、
「~ので」の前を、丁寧形にしていますね。

(5)折り返しお電話いたしますので、少々お待ちくださいませ。
(6)危険ですので、白線の内側までお下がりください。
(7)ドアが閉まりますので、ご注意ください。
(8)あした伺いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

相手のため、特定個人のための「から」。

(9)危険だから、入らないでください。

不特定多数の人に、呼びかける場合は、
押しつけがましくならないように、

(10)危険なので、入らないでください。

を使います。

しかし、特定の個人に、言う場合には、
(9)のように言う方が、聞き手に届きやすいはずです。
ちょっと、上から目線とでも言いましょうか・・・・・・。
相手のために言う場合です。

(11)危ないから、ここで遊んではいけません。

子供にだったら、
(12)危ないから、ここで遊んじゃだめよ。

のように、「から」を使います。

「~から」と「~ので」の比較・まとめ

「~から」と「~ので」は、多くの場合、置き換えができます。

この比較は、絶対的なものではなく、
こういう傾向がある、といった、大きなくくりです。

「~から」 「~ので」
文体 話し言葉。論文には使えない。 話し言葉、書き言葉のどちらにも使える。
自己主張度 自己主張度強。話し手の気持ちをのせて、理由を述べる。 自己主張よりも、まわりに対し配慮したいときに使う。
確実性の高い因果関係、事実関係を中立的に述べる。
意志表現 いろいろな意志表現が使える。 「命令」といった、強い意志性のある表現は使えない。
丁寧度 話し方により、丁寧さを欠くことになるので、初級で導入する際は、このことに注意を要する。 丁寧。「~ます」の「~」に、「ます/です」の丁寧体を使うと、より丁寧な表現ができる。

「~から」「~ので」をご覧になりたい時は、コチラを参照してください。
>>「~から」(理由)
>>「~ので」(理由)

ではでは ニゴでした。

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