説明表現「~んです」「~のです」の誤用Ⅱ
説明表現「~んです」「~のです」の誤用Ⅰ では、
誤用には(1)いい誤用と(2)悪い誤用があるとお伝えしました。
●説明表現「~んです」「~のです」の誤用Ⅰ
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>>説明表現「~んです」「~のです」の誤用Ⅰ
そして、(1)いい誤用 の具体例をあげ、その訂正方法をみてきました。
今回は(2)悪い誤用 について考えていきます。
説明表現「~んです」「~のです」の誤用例(3)
訂正方法(1)
(1)学生:先生、私の証明書、まだ、できないんですか。
先生:(むっとして)ええ・・・。
「~んです」は、理由や説明を求めるときに使います。
その時にも、やはり<前提>が必要です。
(2)A:かわいい犬のイラストですね。←<前提>
自分で書いたんですか。
B:はい。
例(1)の学生は、「~んです」が自分の気持ちを述べる表現なので、
思わず使ってしまったのでしょう。<前提>が
やはり抜けてしまいました。
(3)学生:証明書がなくて、困っているんです。←<前提>
先生、まだ、できないんですか。
(3)は前提を入れてみましたが、やはり先生に使うには
とても失礼です。
「~んです」には、
非難したり、詰問するといった用法もありました。
この用法をご覧になりたい方は こちらをどうぞ。
>>説明表現「~んです」「~のです」(3)
強い主張は、聞く側からすると、
責められているような気持ちになります。
●「~んです」を導入するときには、
聞き手がどのような印象を受けるのか
を、きちんと伝えることが、とても大切です。
(4)学生:証明書がなくて、困っているんです。←<前提>
先生、まだ、できないでしょうか。
(4)のように、自分が困っていることを、
強く主張することは問題ありません。
ここで「~んです」を使います。そして、
●相手に尋ねるときには、「~んです」を使わない、
丁寧な事実確認の質問文にします。
訂正方法(2)
あるいは、「~んです」には、依頼の表現もありました。
詳しくは、説明表現「~んです」「~のです」(3)の
先触れ、前置き、依頼をご覧ください。
>>説明表現「~んです」「~のです」(3)
依頼表現の「~んです」
(5)先生、この問題ができないんですが・・・。
これだけで、「(問題ができないので)教えてください」と
依頼(要求)している意味になりました。
これは、文法的に正しい依頼表現なので、
相手に不快感を与えることはありません。
そこで、
(1)学生:先生、私の証明書、まだ、できないんですか。
を、この依頼表現の形にあてはめます。
この学生は、証明書が早くほしくて、先生に尋ねているのだと思われます。
(1’)学生:先生、証明書が必要なんですが・・・。
これで、すでに証明書を出してください、と言う意味になります。
もっと切実感を出したいのなら、期日をはっきりと述べます。
(1’)学生:先生、明日までに証明書が必要なんですが・・・。
●「~んです」を使って、主張したい、相手に要求したいというときは、
「~んです」の依頼表現の形を使えばいいと伝えましょう。
どんな表現を勉強するときも、それを使うことによって
聞き手が、どのような印象を持つのかを、
いつも考えておく必要があります。
そして、その表現を使うことによって
相手が不愉快な印象をもってしまうとしたら、
それは、悪い誤用となります。
必ず、学生にきちんと指導していきましょう。
ではでは ニゴでした。