説明表現「~んです」初級で何を導入するのか
説明表現「~んです」初級の導入項目
初級では次の(1)~(5)の項目を導入します。
(1)疑問詞を使った疑問文
A:いいバッグですね。どこで買ったんですか。
B:浅草の仲見世で買いました。
●<前提>は相手のバッグ。それを見ていいなあと心が動き、
「~んです」を用いて、尋ねています。
?A:いいバッグですね。どこで買いましたか。
B:浅草の仲見世で買いました。
●「どこで買いましたか。」と、「~んです」を用いない
客観的な事実を尋ねる文を使うと、
「いいバッグですね。」の<前提>の意味がありません。
心が動いていないことになってしまいます。
*注:「~んですか」で尋ねられても、答えには「~んです」を使わない。
A:あっ、リンさん。いつ戻ったんですか。
B:さっき戻りました。(←「~んです」を使っていない)
(2)単純疑問文(疑問詞を使わない疑問文)
A:おいしそうなクッキーですね。
自分で作ったんですか。
B:はい、自分で作りました。
●<前提>はおいしそうなクッキー。それを見て
「~んですか」の文を用いて尋ねています。
●見たり、聞いたりして得た情報=<前提>から、
状況を確認したり、説明を求めたりするときに使います。
●<前提>を見聞きし、不思議に思ったり、驚いたりと
心が動きます。そこで、その<前提>の理由を聞きたくて、
「~んですか」と尋ねるのです。
*注:「~んですか」で尋ねられても、答えには「~んです」を使わない。
A:黒くなりましたね。また、ゴルフに行ったんですか。
B:はい。行ってきました。(←「~んです」を使っていない)
(3)①理由を尋ねる②尋ねられた理由に答える
①A:どうしたんですか。
②B:頭が痛いんです。
①A:どうして、カラオケに行かないんですか。
②B:好きじゃないんです。
●理由を尋ねるときには、必ず<前提>があります。
「どうして」「なぜ」と、理由を尋ねるときには、
「~んですか」を使います。
*注:尋ねられた理由について、
答えるときにも「~んです」を用います。
(4)自分の発話に対して、後から理由を述べる
A:きのうは、アルバイトに行きませんでした。
頭が痛かったんです。
A:今日は漢字テストです。勉強してきましたか。
B:いいえ、してきませんでした。
時間がなかったんです。
(5)前置き
A:この漢字が読めないんですが、教えていただけませんか。
B:いいですよ。
A:あの、すみません。郵便局へ行きたいんですが。
B:郵便局ですか。郵便局はあそこですよ。
●「~んです」の前置き表現は、
(1)~(4)の「~んです」とは、分けて、
別の課で導入するテキストもあります。
●前置き表現について、もっと詳しく知りたい方は
説明表現「~んです」「~のです」(3)の以下からお読みください。
●これから述べる
(8)先触れ、(9)前置き(10)依頼、の表現は
同じ意味用法ともいえます。
●前置きの「~んです」は、依頼表現ですから、
別の課で導入した方が、学生にとっては、わかりやすいですね。
ではでは ニゴでした。