「~のに」と「~ても」の違い
逆接表現「~のに」と「~ても」
「~のに」も「~ても」も、逆接を表します。
「~のに」:事実的逆接
「~ても」:仮定的逆接・事実的逆接
どちらも逆接を表すのですが、
「~のに」は事実的逆接にしか使いません。でも
「~ても」は事実的逆接にも使えますが、主に仮定的逆接に使います。
・「~のに」:事実的逆接
毎日カラオケで練習しているのに、歌が上手になりません。
↓
事実
・「~ても」:事実的逆接
辞書で調べても、わかりません。
↓
事実
・「~ても」:仮定的逆接
明日は雨が降っても、試合をします。
↓
仮定
「~のに」も「~ても」も、事実的逆接を表すことができるので、
学生は、ここで混乱してしまうのだと思います。
では、「~のに」「~ても」が事実的逆接を表すとき、
どこに違いがあるのでしょうか。
もう少し例文を上げてみましょう。
事実的逆接の「~ても」
・スイッチを入れても、作動しない。
・(たばこの特売品を見て)このたばこは、安くても、買いません。
・便利でも、このカードは作りません。
・このカメラは水中でも、撮ることができます。
事実的逆接の「~のに」
・トムさんは、お金をたくさん持っているのに、貸してくれません。
・トムさんは、こんなに忙しいのに、手伝ってくれません。
・問題は簡単だったのに、一時間では終わらなかったんです。
・明日はテストなのに、トムさんは全然勉強しません。
「~のに」は自分の期待とは、違ったことがおきて、
がっかりしたり、びっくりしたときに、よく使います。
話し手が自分の感情を訴えたい時に多く使われます。
上の「~ても」と「~のに」の例文をみても、
そんな感じがしますね。
では、次の「~のに」と「~ても」を使った
二つの文の状況を想像してみてください。
(1)一時間も待ったのに、来なかった。
(2)一時間待っても、来なかった。
ちょっと、小説家になったつもりで、誰が、誰に対して、
どんなことがあったから、この文を言ったのか考えてみます。
(1)「~のに」:一時間も待ったのに来なかった。
彼女は、待ち合わせの場所で、恋人を一時間も待っていました。
でも、恋人は、やってきませんでした。そこで、後日彼と会ったときに、
「一時間も待っていたのに、どうして、来なかったのよ。ばか、ばか、ばか!」
(1)の例文は、こんな状況が考えられます。
(2)「~ても」:一時間待っても来なかった。
とある喫茶店です。
来られるかもしれないと言っていたので、
メンバーは打ち合わせをしながら、田中さんを
待っていました。しかし、
「一時間待っても、来なかった。」ので、
打ち合わせが終わると、解散しました。
(2)の例文では、こういった状況を考えてみました。
人によって、想像する状況は、異なります。
でも、「~のに」の方が、
個人的な感情を入れやすかったと思います。
では、次の例はどうでしょうか。
客 :あっ、これこれ。
このコップ、この間床に落としちゃったのに、
割れなかったんだよ。
店員:そうなんです。お客様。
こちらのコップは、落としても、割れないんです。
やはり、「~のに」は、「~ちゃった」とか、
気持ちの入る語とマッチしますね。
そして、「~ても」を使って、お店の人は、
自分の感情というよりは、商品の性能を述べています。
こんなところが、「~のに」と「~ても」違いだと思います。
教案を書くときに、こういった例が、
すこしでも参考になれば「いいのになあ・・・・」
と思っています。
こちらに、「~ても」と「~のに」について、書いてあります。
ではでは ニゴでした。