逆接の表現「~のに」①
「~のに」の意味・用法
「~のに」の形の作り方
「~のに」を使った文
前件 のに、 後件 。
●「~のに」の前には、
動詞、い形容詞、な形容詞、名詞の普通形がきます。
●学生は「な形用、名詞」の接続をよく間違えるので、
注意を促しましょう。
動詞 | な形容詞 | ||
食べる 食べない 食べた 食べなかった |
のに | ひまな ひまじゃない ひまだった ひまじゃなかった |
のに |
い形容詞 | 名詞 + だ | ||
忙しい 忙しくない 忙しかった 忙しくなかった |
のに | 休みな 休みじゃない 休みだった 休みじゃなかった |
のに |
「~のに」の意味
1、事実的逆接
(1)一か月間、頑張ってダイエットしたのに、全然痩せませんでした。
「~のに」は、(1)の例のように、
後件の結果が、
前文から予想されるものとは逆であることを表します。
「~のに」前文の事柄・事態が、
すでに起こっている(既定)ときに、
用いられます。
つまり、
前件の文は、すでに事実だということです。
多くの場合、後件で
「非難」「(予想外で)びっくり」「おかしい、変だ」「困惑」
などの、不満を表します。
・もう、秋も深まったというのに、いっこうに涼しくならない。
・このいちご、高かったのに、全然おいしくない。
・あのレストラン、あまりおいしくないのに、どうしてこんでいるんだろう。
2、対比
「~のに」は、前件の文と後件の文とで、対比を表すことができます。
(1)ジャックさんは、話すのは上手なのに、漢字は全然書けない。
(2)昨日はあんなに寒かったのに、今日は夏のようだ。
3、終助詞的用法
(1)A:ねえ、あの人、サウナスーツ着て走ってるよ。
B:わあー、ほんとだ。こんなに暑いのに。
●Bさんは、(こんな暑い日に、サウナスーツを着て走っているのは)
「変だ、意外だ」といった気持を、言外に示しています。
(2)A:ごめん。明日行けなくなった。
B:そんな・・・。楽しみにしていたのに。
●Bさんにとって、Aさんの発話内容は、
自分の予想と違っていました。
そこで、文の終わりに「~のに」をつけることで、
自分の不満や驚き、悲しみを表しています。
(どうして、行けなくなったのか)と詰問したいのを
抑え込んでいます。
(3)あんなに頑張って勉強したのに・・・・。
(どうして、試験に合格しなかったんだろう)
●「勉強したという事実から、合格すると期待していたのにもかかわらず・・・」
といった意味です。
文の終わりに「~のに」をつけることで、
自分の残念な気持ちを表しています。
(2)と同じで(どうして、試験に合格しなかったんだろう)
という気持ちを飲みこんでいます。
(4)危ないから、絶対行くなと言ったのに・・・・。
(どうして行ったんだろう)
●「事実から、行かないと予想したのにもかかわらず・・・」
といった意味です。上記(2)(3)と同じで
文の終わりに「~のに」をつけることで、
自分の残念な気持ちを表しています。
(どうして行ったんだろう)という気持ちを
飲みこんでいます。
●以上の例は「~のに」で止めているため、
後件文で自分の気持ちを表明していません。
しかし、
「~のに」が文末にあるため、
自分が予想したのとは異なった、
期待外れの事実に終わってしまったことに、
非常に心外で、残念だという気持ちを表せています。
(なぜ、どうしてだろう)、という困惑の気持ちを伴います。
次回は「~のに」の後件文の文法的制約についてみていきます。
>>逆接の表現「~のに」②
ではでは ニゴでした。