格助詞「で」(手段)
1.助詞全体については
以下をご覧ください。
↓↓↓
https://www.tomojuku.com/blog/particle-2/
上記(助詞全体)では
助詞を5種類に分けました。
(1)格助詞
(2)接続助詞
(3)取り立て助詞(副助詞)
(4)終助詞
(5)複合格助詞(=助詞相当語)
2.上記の助詞(1)~(5)の(1)格助詞については
以下をご覧ください。
↓↓↓
https://www.tomojuku.com/blog/kakuparticle/
上記では
格助詞を(諸説ありますが)9つに分けました。
(1)が(2)を(3)に(4)で(5)へ
(6)より(7)から(8)まで(9)と
ここでは
格助詞「で」の用法について詳しく見ていきます。
まず、
格助詞「で」の用法を5つに分けます。
4.格助詞「で」
(1)動作・作用の場所
①昨日あの店でラーメンを食べた。
(2)手段・方法・道具・材料
①はさみで切ってください。
②この服は紙でできている。
(3)範囲
①私の国では漁業が盛んです。
*範囲の「で」については
以下をご覧ください。
↓↓↓
https://www.tomojuku.com/blog/particle-de-2/
(4)限度・期限
①一週間でできますか。
②これは100円で買いました。
(5)原因・理由
①地震で電車が止まった。
この(1)~(5)の格助詞「で」の中で
(2)の手段を表す「で」が最も基本的な用法だと言えます。
典型的な「手段」としては道具や方法があります。
また、
材料や構成要素、内容物、付着物なども
「手段」に含まれます。
手段の「で」
1.道具
(1)包丁で野菜を切る。
(2)ボールペンで名前を書く。
(3)新幹線で京都へ行く。
「で」のつく名詞が体の一部(⇒足)
抽象度の高い(⇒言葉)のような場合も
「手段」に含めます。
(4)足でペットボトルを踏み潰す。
(5)言葉で相手を責める。
(4)や(5)は
述語の動作の様態を表す「で」に
近い意味となります。
様態の「で」
様態とは
どんなふうに動くのか、
どんなふうに見えたり、聞こえたりするのかを
あらわすときに使います。
(例)裸足で砂浜を歩く。
(例)赤ちゃんが大声で泣いている。
道具の「で」と様態の「で」の違い
道具の「で」と様態の「で」は
簡単に見分けられます。
道具の「で」は「~を使って」「~を用いて」で
言い換えられます。が、
様態の「で」は言い換えることができません。
道具の「で」
(例)ナイフで(〇を使って)チーズを切る。
(例)足で(〇を使って)ペットボトルを踏み潰す。
様態の「で」
(例)裸足で(×を使って)砂浜を歩く。
(例)赤ちゃんが大声で(を使って)泣いている。
2.方法
手段の「で」は
方法、方式、形式、作戦、操作など、
抽象度の高い意味も表します。
(例)遠近法で図を作成する。
(例)俳句でありありとした情景を描く。
(例)インスタグラムでおいしそうなレストランを探す。
(例)タックルで相手の陣形を崩す。
(例)遠隔操作でドローンを飛ばす。
(例)SNSで相手の秘密を探る。
*同じ言葉を使っても、分類が違うことがあります。
具体的な意味の「手」は「道具ので」、
抽象的な意味の「手」は「方法ので」に分類されます。
(道具ので⇒)「汚い手」でお菓子をつままないでください。
(方法ので⇒)「汚い手」でライバルを蹴落とす。
3.材料
(例)粘土で人形を作る。
(例)このセーターは和紙で編まれている。
材料を表す「から」
(例)豆腐は大豆から作られる。
材料を表す「で」と「から」は
どんな違いがあるのでしょうか。
材料を表す「で」と「から」の違い
(例1)ワインはブドウから作られる。
(例2)?ワインはぶどうで作られる。
(例2)は(例1)に比べると、
あまりきれいな文とは言えません。
どうして
そのように感じるのでしょうか。
それは
「から」の持つ別の意味によります。
<「から」の意味>
①「から」は起点としての意味を強く持っています。
「起点・から」
(例)駅から大学まで歩く。
②また、「から」は
変化としての意味も持っています。
ある状態AからBに変化する、
というときに使います。
「変化・から」
(例)信号が青から黄色に変わる。
(例1)ワインはブドウから作られる。
この(例1)の「から」には
ぶどうという材料(原料)を使い、
それが変化して、ワインになる
という含みが感じられます。
そこで
(例1)ワインはブドウから作られる。
(例2)?ワインはぶどうで作られる。
この二つの例文では(例2)ではなく、
(例1)の文のほうが しっくりくるのです。
また、「材料」の「で」は
(例)千代紙で鶴を折る。
のように、材料の質自体は変化しません。
つまり、形は鶴でも、その材料はもとの千代紙のままです。
しかし、ワインのぶどうは、発酵などを経て
もとのぶとうではなくなっています。
4.構成要素
(例)今日の試合は このメンバーで戦う。
5.内容物
(例)スタジアムは熱気でむんむんしている。
(例)スタジアムはAチームを応援する人でうめつくされた。
6.付着物
(例)髪の毛が雨でぐっしょり濡れてしまった。
ではではニゴでした。