受身の助詞「に」「から」
受身文の動作主の助詞
●間接受身の動作主は「に格」しかとりません。
1、私は 友達に 夜遅く遊びに来られました。
そこで、受身文の動作主(友達)を示す助詞は
基本的に「に」を使うと言えます。
●受身の動作主を示す助詞が、問題になるのは、
直接受身文です。
●直接受身文は、ある特定の動詞、文体では、
「によって」「から」「で」「の手で」なども使われます。
1、私は 先生 (○に/○から) ほめられた。
2、花束は 部長(×に/○から) 田中さんに 贈られた。
3、アメリカ大陸は コロンブス(×に/○によって)発見された。
1は「に」「から」両方使えます。
2は「に」が重複してしまう(田中さん「に」がある)ため、「から」しか使えません。
3は堅い文体であるので、「によって」の方が適切です。
1「に」「から」両方使える動詞①
1、私は 先生 (○に/○から) ほめられた。
1の文では「に」と「から」両方とも使えます。
「ほめる」のように、人に働きかける動詞で、
感情を表すものは、「に」「から」の両方が使えます。
(愛する/憎む/好む/嫌う/恐れる/惜しむ/尊敬する/軽蔑する/怪しむ・・・)
2、ジュリエットは ロミオ(に/から)愛されました。
3、周恩来は今も中国の人々(に/から)尊敬されている。
4、田中さんは、刑事(に/から)怪しまれた。
1「に」「から」両方使える動詞②
②ー1、私は先生(に/から)声をかけられた。
②ー1の文では「に」と「から」両方とも使えます。
「声をかける」のように、「移動性」「方向性」のある動詞は、
「に」「から」の両方が使えます。
(招待する/呼ぶ/誘う/振り向く/迎える・・・)
②ー2、突然、友達(に/から)呼び止められた。
②ー3、あまりにひどい恰好だったので、みんな(に/から)振り向かれた。
②ー4、田中選手は チームメイト(に/から)温かく迎えられた。
2「から」を使う動詞
1、何かを受け取る人が「に格」を取る動詞
【能動文】
1、先生が 学生に 本を{渡す/送る/与える・・・}。
1の「渡す」というグループの動詞は、
何か(本)を受け取る人(学生)は「に格」を取ります。
1の文を、受身文にします。
(注:受身文でも、本を受け取るのは学生です。)
【受身文】
×2、本は 先生に 学生に 渡された。
2は「に格」が重複しているため、非文となります。
(日本語は 同じ意味をもつ助詞を、重複して使ってはいけません)
そこで、
○2’、本は 先生から 学生に 渡されました。
2’のように、「から格」を使うと、正しい文になります。
余談
上記、2「から」を使う動詞で、
(日本語は 同じ意味をもつ助詞を、重複して使ってはいけません)
と述べました。そこで、
×2、本は 先生に 学生に 渡された。
これは非文となり、「先生に」を「先生から」に直しました。
では、この「に」の重複は どうでしょうか。
3、私は 先生に お寿司屋さんに 誘われた。
「に」が重複しているので、ちょっとくどい感じがしますが、
非文ではありません。
これは「先生に」と「お寿司屋さんに」の「に」の意味が違うからです。
「先生に」の「に」は、対象、
「パーティーに」の「に」は、場所を表します。
「に」が重複しているのですが、「に」の意味が違います。
そこで、非文ではなくなるのです。
×2、本は 先生に 学生に 渡された。
×2の「先生に」と「学生に」の「に」は、同じ意味を表します。
ですから、非文になってしまいます。
受身の助詞の続きはこちらをご覧ください。
>>受身の助詞「に」「によって」
ではでは ニゴでした。