受身の分類「みんなの日本語」「大地」②

 「みんなの日本語」「大地」の受身

「みんなの日本語」では、受身を6つに分類しています。
以下に第37課に載っている例文を示します。

1、わたしは 部長に ほめられました。
わたしは 部長に 仕事を 頼まれました。

2、わたしは 誰かに 足を     踏まれました。
わたしは 母に  マンガの本を 捨てられました。

3、大阪で 展覧会が  開かれます。
大阪で 国際会議が 行われます。

4、この美術館は 来月     壊されます。
この美術館は 200年前に 建てられました。

5、日本の車は いろいろな国へ 輸出されています。
洗濯機は  この工場で   組み立てられています。

6、「源氏物語」は 紫式部によって     書かれました。
電話は    グラハム・ベルによって 発明されました。

「みんなの日本語」では
一日(四時間)で、これだけの受身を導入します。

しかも、助詞についても「に」と「によって」の二種類を
学ばなければなりません。
一日で、できるようになれ、というのは、要求が高すぎます。
理解するだけで精一杯といったところでしょうか。

また、「みんなの日本語」では
●「雨に降られた」
といった、自動詞の受身は入っていません。

次に「大地」第36課の例を示します。

1、私は 先生に 呼ばれました。
私は 先生に 注意されました。

2、私は 子供に カメラを 壊されました。
  私は 雨に       降られました

3、大阪で 会議が開かれます。
金沢は 小京都と 言われています

4、源氏物語は 紫式部によって 書かれました。

「大地」では、2(私は雨に降られました)で自動詞の受身を例示しています。
また、受身の中でとてもよく使われる「~と言われています」を
例文に載せています。

また、助詞「によって」を用いている4は、欄外に載せてあり、
授業では詳しく触れません。
助詞「に」と「によって」は、
できるクラスだったらやるというスタンスでしょうか。

「大地」でも、多くの種類の受身を一度に導入してしまいます。

受身が学習者にとって難しいのは、このように、たった一日で
多くの受身を学習しなければならないからでしょう。

分けて学べれば、学習者の負担は、かなり減るのではないでしょうか。
もし、分けられるのであれば、分けて教えましょう。

どうやって受身を導入するのか

「みんなの日本語」の例文1~6を見てください。

1、わたしは 部長に ほめられました。
わたしは 部長に 仕事を 頼まれました。

2、わたしは 誰かに 足を     踏まれました。
わたしは 母に  マンガの本を 捨てられました。

3、大阪で 展覧会が  開かれます。
大阪で 国際会議が 行われます。

4、この美術館は 来月     壊されます。
この美術館は 200年前に 建てられました。

5、日本の車は いろいろな国へ 輸出されています。
洗濯機は  この工場で   組み立てられています。

6、「源氏物語」は 紫式部によって     書かれました。
電話は グラハム・ベルによって 発明されました。

もし、外国人学習者だとしたら、1,2と3~6は
同じ表現だと思えるでしょうか。
同じ受身とはいえ、印象があまりにも、違いすぎます。

そこで初級では、まず、1,2のような、感情を伴う受身と
3~6の感情を伴わない受身に分けます。

感情を伴う受身は、その例文が使われる状況をきちんと見せると
学生にとっては、とても入りやすい表現です。
一つ一つの例文を、丁寧に状況設定し、実演しながら導入していきましょう。

日本語の受身の特徴は「迷惑の受身だ」と言われるくらい、
「迷惑」といった意味合いを表す例は豊富です。
しかし、「迷惑か迷惑じゃないのか」を決めるのは、
文型よりも、多くは動詞本来の持つ意味によります。

1、私は先生にほめられました。
2、私は先生にしかられました。

このように、受身では、
プラス、マイナス両方の感情に使える
ことを示すことが大事です。

また、受身は、誰かからの働きかけで、自分の心が動いたときに
使われる表現です。

最初は受身の主語を「」で揃えます。
文型は常に「私は~さんに~(ら)れた」
になることを意識させましょう。

ではでは ニゴでした。

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