非情の受身の動作主

非情の受身の注意点

1、私は 魚を 釣った。
2、×魚は 私に 釣られた。

非情の受身では物・事を主語にします。
しかし2は 非文となります。

では、どんな場合に、
物・事を主語にする非情の受身が使われるのでしょうか。

1、源氏物語は 紫式部によって 書かれた。
2、この雑誌は 多くの人に 読まれている。
3、入学式が(学校によって)行われた。
4、花壇の花は 何者かによって 切りとられた。

まず、動作主に注目してみます。

1の動作主:「紫式部」→有名である。
2の動作主:「多くの人」→不特定である。
3の動作主:「学校」→言う必要がない。
4の動作主:「何者かによって」→誰なのか、わからない。

非情の受身の動作主は、この4つの場合が多いようです。

1、源氏物語は 紫式部によって 書かれた。

1、動作主が有名人の場合

2、「舟を編む」は 三浦しおんによって 書かれた。
3、金閣寺は 足利義満によって 建てられた。
4、運命は ベートーヴェンによって 作曲された。
5、電話は ベルによって 発明された。

この場合、助詞には「~によって」が使われます。

例文を眺めてみると、助詞も「~によって」をつかうので、
一つのまとまった表現として
学習者に提示する方がわかりやすいと思われます。

2、この雑誌は 多くの人に 読まれている。

2、動作主が不特定多数の場合

6、三社祭は、浅草の人々によって 守られています。
7、この基金は、多くの賛同者によって、支えられています。
8、村上春樹の本は、世界中の人に 読まれています。
9、この童話は 子供たちに とても愛されている。

● ○○は 多くの人に「~      」
この「~   」の中に入れる動詞を 考えてみてください。

「尊敬されている、指示されている、共感されている、食べられている
使われている、・・・・」
など、動作主が不特定多数の場合、「~  」に入れた動詞は、
「~ています」の形になりませんか。

動作主が不特定の場合は、多く動詞の形は「~ている」となります。
2の例文も、一つの表現として、導入できます。
その時には、動作主は「子供」「若い人」「女の人」のように、
不特定(多数)の人だと、きちんと提示しましょう。

3、入学式が(学校によって)行われた。

3、動作主はいう必要がない場合

3、入学式が(学校によって)行われた。は、
動作主を無理やり、(学校によって)と書きましたが、
この例文の場合、動作主を言う必要がないのですから、

【3’入学式は 学校で 行われた。】のようにする方が自然です。

10、来月、人工衛星が 打ち上げられます。
11、上野の森で 現代アート展が 開かれます。
12、国際会議では 英語が 使われます。
13、来月、記念切手が 発売されます。

4、花壇の花は 何者かによって 切りとられた。

4、動作主が誰なのかわからない場合

4の場合、現象文として(注1)
「花壇の花が 切り取られている」のようにも言えます。

14、金庫が 誰かに 開けられた。
→ 金庫が あけられている。

15、(仕事をしていたのに) 誰かに 電気を消された。
→(戻ってきたら、あれっ?)電気が 消されている。

16、家の前に ごみが 捨てられていた。
17、集会所のカギが 壊されていた。

物・事を主語にする受身は、現象文の場合にも使えます。

注1現象文:目の前の状況・現象を見たままに描写する文

有情の受身と非情の受身については、コチラをご覧ください。
>>有情の受身と非情の受身

ではでは ニゴでした。

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