日本語の音声
発音について
私(仁子にご)は中学生になってから、
初めて外国語(英語)というものを
勉強しました。
その時に
「f」や「v」の音は
下唇を軽くかんで発音したり、
「r」は
思い切り
舌をのどの方に巻き込んだりと、
英語の音の出し方が
日本語と
あまりにも違っていることに
とても驚きました。
語学の勉強のうち、
発音の分野は
大人になってからでは
ネイティブと同じようになるのは
ちょっと大変です。
小さい子供なら
やすやすと聞き分けられる音が
大人には
聞き分けられないことが多いからです。
ですが、
前後に文脈があれば、必ず
聞き分けられるようになります。
それが
知識が豊富な大人の強みでもあります。
大人になってから
日本語学習を始めた外国の方も同じです。
日本人と同じ発音ができるようになりたい、
と願っても、
なかなか難しいのが現実です。
どこまで、
学習者の発音をよくしていくのか、
これは彼ら、彼女らの目的によるでしょう。
発音練習は慎重に
学習者の発音練習は
「慎重すぎる」
ということはありません。
「日本人と
同じ発音ができるようになる、
これが私の希望です。」
と、いくら言われても、
発音練習は
慎重に進めていきましょう。
学習者のメンツをつぶさないよう、
細心の注意を払いましょう。
日本語の音声
日本語は音声的には
とても簡単な言語と言えます。
それは以下の2点によります。
①音の種類が少ない。
②音の組み合わせが単純である。
日本語の音の種類
日本語の音はいくつ?
と聞かれたら、
50音表を
思い浮かべるのではないでしょうか。
清音(50)
あいうえお
かきくけこ
さしすせそ
たちつてと
なにぬねの
はひふへほ
まみむめも
や(い)ゆ(え)よ
らりるれそ
わ(ゐ)(う)(ゑ)を
濁音(20)
がぎぐげご
ざじずぜぞ
だぢづでど
ばびぶべぼ
半濁音(5)
ぱぴぷぺぽ
拗音(36)
きゃ きゅ きょ
しゃ しゅ しょ
ちゃ ちゅ ちょ
にゃ にゅ にょ
ひゃ ひゅ ひょ
みゃ みゅ みょ
りゃ りゅ りょ
ぎゃ ぎゅ ぎょ
じゃ じゅ じょ
ぢゃ ぢゅ ぢょ
びゃ びゅ びょ
ぴゃ ぴゅ ぴょ
促音(1)
[っ]
(撥音(1)
ん
数え方にもよりますが、
書く練習が必要な文字の種類は
46ほどです。
例えば
「ば」は
清音の「は」に濁音の符号「″」を付けたもの。
「ぱ」は
清音の「は」に半濁音の符号「º」を付けたもの。
促音の「っ」は
清音の「つ」を小さくしたもの、
このように数えると、
覚えなくてはならない数は
意外に少ないことがわかります。
46文字
これは大人の学習者なら、
簡単に覚えられます。
日本語の音の組み合わせ
音節
音節とは
母音を核として、切れ目なく
一気に発音される連続した音のことです。
●日本語の場合は
かなの一文字一文字が
一つの音節を表しています。
そら ⇒ 2音節
ほたる ⇒ 3音節
●英語の場合は
そうはいきません。
sky ⇒ 1音節
(sky は
切れ目なく、一気に発音されるからです)
street ⇒ 1音節
(streetも
切れ目なく、一気に発音されるからです)
開音節と閉音節
音節には構造上、
「開音節」と「閉音節」とがあります。
開音節 : 母音で終わるもの
閉音節 : 子音で終わるもの
例えば
●日本語の「蚊(か)」は
「k + a」(a=母音)
最後の音は
母音で終わっています。
そこで、
開音節となります。
●英語の「spring」は
最後の音は
「g」という子音で終わっています。
そこで、
閉音節となります。
日本語の音節構造
子音 ⇒ C ⇒ consonant
母音 ⇒ V ⇒ vowel
半母音 ⇒ S ⇒ semivowel
日本語の音節構造はとても簡単です
音節の 種類 |
音節の構造 | 例 |
(1) 標準音節 |
子音(C)+ 母音(V) |
か(k+a) |
(2) 母音音節 |
母音(V) | あ |
(3) 拗音節 |
子音(C)+ 半母音(S)+ 母音(V) |
きゃ(k+y+a) |
上記の(1)(2)(3)を比べると、
一番複雑な構造をしているのは
(3)の拗音節です。
しかし
英語と比べると、
この(3)の拗音節も
とても単純な構造であることがわかります。
●日本語の
(3)拗音節の例:きゃ(k+y+a)
子音(C)+半母音(S)+母音(V)
⇒ C + S + V
●英語:spring
s + p + r + i + n + g
⇒ C+C+C+V+C+C
日本的(カタカナ)発音が
通じる言語と通じない言語
があるのは、なぜか?
スペイン語やイタリア語は
日本語と同じように、
母音をはっきりと発音します。
例えば
日本人がスペイン語を聞いて、
カタカナでメモします。
そして
そのメモを発音すると
(スペイン語を母語とする)相手に
聞き取ってもらえる確率が
かなり高いのです。
それは
スペイン語、イタリア語、日本語が
母音で終わる開音節の言語だからです。
スペイン語の家は「casa」です。
これは「 ca + sa 」の2音節であり、
日本語で「カサ」と言っても
通じやすいのです。
ところが、
英語のswimming (水泳)を
英語を母語とする人の前で
カタカナで「スイミング」と言っても、
おそらく相手には通じないでしょう。
英語は
開音節の日本語と違って、
閉音節です。
(swimmingの最後の音は
「g」で、子音です)
swimmingは
ス[su]の母音がありません。
ですから
正確な音は
「ス」( s + u ) ではありません。
また
swimmingの
wiは「イ」ではありません。
「w」があるので、
口を日本語の「う」よりも、
かなり すぼめて、
とがらせなければないません。
こうしたことから
「スイミング」と言っても
通じないのです。
日本語母語話者は
swimmingを
「スイミング」と読みがちです。
それは どうしてなのでしょうか?
日本人は
どうして英語にカタカナのルビを
ふってしまうのか?
日本語母語話者の母音挿入
日本語は開音節です。
つまり、
言葉の最後は母音で終わります。
その結果、
日本語を母語とする話し手は
外国語を聞くと、
知らず知らずにうちに、
日本語のこのルールを
当てはめてしまうのです。
例えば
英語の「forest」を聞いた場合、
「forest」の「t」の後ろには
母音はありません。
英語ネイティブは「t」と
発音しています。
ところが、
日本語母語話者は
ないはずの母音を聞き取ってしまい、
「foresto」だと感じてしまうのです。
(「forest」を「foresto」(t+o)に
聞いてしまいます)
この現象を「母音挿入」と言います。
「母音挿入」が起こる原因は
日本語が開音節だから、
ということもありますが、
一つだけの理由から
起こる現象ではありません。
日本語独特のリズムとも関係しています。
次回は
この日本語のリズムについて
書いていこうと思います。
ではではニゴでした。