敬語「申します」「申し上げます」
ここでは
「申します」と
「申し上げます」
について、見ていきます。
敬語の分類
敬語は大きく五つに分類しました。
1.尊敬語
2.謙譲語Ⅰ
3.丁重語(=謙譲語Ⅱ)
4.丁寧語
5.美化語
この5分類のうち、
「申します」は丁重語(=謙譲語Ⅱ)
「申し上げます」は謙譲語Ⅰとなります。
まず、
この分類を頭に入れておきます。
次に、
「申します」から始めます。
申します
「申します」は
丁重語(=謙譲語Ⅱ)です。
丁重語(=謙譲語Ⅱ)とは
周囲の聴衆、
その場の雰囲気が
どの程度かしこまっているか、
つまり、
目の前の聞き手、
今自分が置かれている場の格式度
に対して
配慮する表現です。
そこで、
例えば
面接のような
かしこまった場では
「仁子(にご)です」ではなく、
「仁子と申します」
のように使います。
次に
「申し上げます」
について見ていきます。
申し上げます
「申し上げます」は
謙譲語Ⅰです。
謙譲語Ⅰの使い方として
(1)敬意を表したい人がいる。
(2)その人に自分が何かをしてあげたい。
(3)そこで、その人に対して行う自分の動作を
謙譲語Ⅰの形にして、その人に敬意を表す。
これが
「謙譲語Ⅰ」の使い方でした。
例を挙げると
A:先生、その荷物、重そうですね。
(私が)お持ちします。
B:ありがとう。では、お願いします。
「申し上げます」は
この謙譲語Ⅰのグループに所属しています。
「申し上げます」
の使い方の例として、
秘書が社長に敬意を表したいとき
「言う」を
(≒「申し上げます」の原型)
どのように変換していくのか
見ていきましょう。
まず、
「申し上げます」を上記の
「謙譲語Ⅰ」の使い方に当てはめていきます。
(1)敬意を表したい相手(社長)に
(2)自分(秘書)が言うべきことがある。
(3)自分の相手に対する動作(=言う)を
謙譲語Ⅰの形にする。
言う → 申し上げる
(例)秘書:社長、この案件Bにつきまして、
少々申し上げたいことがございます。
これで、
秘書は社長に対して
敬意を示していることになります。
「お祈り申し上げます」は間違い?
以前、こんな質問を受けました。
<質問>
「申し上げます」は
「言う」の「謙譲語Ⅰ」の形ですよね。
それなら
「お祈り申し上げます」は
「祈る」に、さらに
「言う」を付け加えています。
これは
間違えではありませんか?
<答え>
まずは
「謙譲語Ⅰ」の復習から。
以前、「謙譲語Ⅰ」のところで、
「謙譲語Ⅰ」の形式として
以下の五つを紹介しました。
(1)謙譲語独自の動詞を使う
(2)「おVする」の形を使う
(3)「おVいたします」の形を使う
(4)「ごNする」の形を使う
(5)「ごNいたします」の形を使う
(V=動詞 N=名詞)
「謙譲語Ⅰ」の5分類のところでは
紹介しなかったのですが、
「お(ご)~申し上げます」も
この「謙譲語Ⅰ」の形式の一つです。
「お(ご)~いたします」の
さらに敬意の高い言い方となります。
A:「お(ご)~します」
B:「お(ご)~いたします」
C:「お(ご)~申し上げます」
●A→B→Cの順に
敬意の度合いが高くなります。
「お(ご)~申し上げます」は
以下のような言葉と
よく一緒に用いられます。
●お願いします → お願い申し上げます
●お祈りします → お祈り申し上げます
これは
とてもよく目にしますね。
他にも
●(私が)ご自宅までお送り申し上げます。
・お祝い申し上げます
・お知らせ申し上げます
・お話申し上げます
・お悔やみ申し上げます
・お詫び申し上げます
・お喜び申し上げます
・ご連絡申し上げます
・ご説明申し上げます
・ご報告申し上げます
こうした言い方もよく使われています。
ところが、
「失礼申し上げます」は
「お/ご」を使わないので、
気を付けましょう。
「申します」のつく様々な動詞
「申します」は
動詞を二つ重ねて使う
「複合動詞」を多く持っています。
(例)こちらからA社に和解を申し入れよう。
(例)人事から自宅謹慎を申し渡された。
(例)この件につきましては
Aには私の方から申し伝えておきます。
他にも
・申し合わせる
・申し受ける
・申し送る
・申し兼ねる
・申し込む
・申し添える
・申し立てる
・申し付ける
・申し出る
などが、
すぐに思い浮かびます。
尊敬語に使える「申し○○」
「申します」は「丁重語(謙譲語Ⅱ)」
「申し上げます」は「謙譲語Ⅰ」です。
そこで、
(旅行者の社員がお客さまに対して)
●参加ご希望の方は
お申し出ください。
この例文は
尊敬語の形式なので、
「申し出る」を使うのは
間違えではないですか?
と言われることがあります。
確かに
「申します」「申し上げます」は
尊敬語の形式では使えません。
ところが、
「申します」を使った複合動詞「申し○○」
の中には
尊敬語の形式で使えるものがあります。
尊敬語:「お/ご~くださる」
動詞述語の尊敬語の形式の一つに
「お/ご~くださる」
があります。
「お/ご~くださる」の
命令形「お/ご~ください」は
主に
「許可」「指示」「懇願」「誘い」
の意味を表します。
<許可>
・ご自由にお取りください。
<指示>
・こちらの欄にお名前をお書きください。
<懇願>
・今後ともよろしくご指導ください。
<誘い>
・お近くにいらしたときには
ぜひ、お立ち寄りください。
「申します」を使った複合動詞のいくつかは、
この形式に当てはめることができます。
(例)こちらは
ウェブサイトからお申し込みください。
もし、
敬語を使っていないと
誤解されそうなときは、
「申し○○」を使わずに、
他の言葉に言い換えてもいいかもしれません。
(例)参加ご希望の方はお申し出ください。
↓
参加ご希望の方はおっしゃてください。
参加ご希望の方はお知らせください。
(例)何なりとお申し付けください。
↓
何なりとおしゃってください。
何なりとご用命ください。
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ではではニゴでした。