単文・複文・重文

日本語文法と国文法はかなり違います。
使う言葉も違うのです。

例えば
国文法では形容詞形容動詞と言う呼び方をしますが、
日本語文法では形容詞をイ形容詞、形容動詞をナ形容詞と言います。

文の単位である、単文、複文、重文も
少しずれがあります。

日本語を教えるときに、
単文、複文、重文の定義や、国文法との違いを
知っておくと、その内容が頭に入りやすいと思います。

そこで、ここでは単文、複文、重文について、
日本語文法と国文法の違いをみていきます。

単文、複文、重文

国文法では文の種類を
①単文②複文③重文に分けます。

日本語文法では複文の中に重文を含めてしまうので、
①単文と②複文の二つに分けます。

 

 

 

上記の分け方を頭に入れておき、
①単文②複文③重文、それぞれについてみていきます。

(1)単文

単文とは文の中に述語が一つだけの文です。
<述語とは動詞、(イ・ナ)形容詞、名詞のことです>

(例1)雨がふっています。
→述語が、動詞「ふっています」の一つだけです。

(例2)このりんごはおいしいですよ。
→述語が、形容詞「おいしいです」の一つだけです。

(例3)もう、お昼だ。
→述語が、名詞「お昼だ」の一つだけです。

*突然ですが、ここでクイズです。

(例)観測史上、最も強大な台風42号は
明日の朝6時ごろ、ついに日本の最南端に上陸する。

上記の例文は①単文ですか?②複文ですか?
③そして、それを選んだ理由は何ですか?

→答え
上記の例文は、一見すると文が長いのですが、①単文です。
③どうしてかというと、述語が「上陸する」の一つしかないからです。

(2)重文

重文の「重」は、重ねる、つまり「たす」と言う意味です。
単文と単文をたしたものが、重文です。

(例1)雨が降り、 風が吹く

単文(雨が降り)  単文(風が吹く) = 重文

重文は「雨が降り、風が吹く。」と言ってもいいし、
・・・・・・風が吹き、雨が降る。
と言っても文の意味がほとんど変わりません。

つまり、「前件の文と後件の文が対等に並んでいる文」を
「重文」と言います。

(例2)背が高く、力も強い。

→形容詞文の重文。

(例3)A先生が1組の担当で、B先生が2組の担当です。

→名詞文の重文。

(3)複文

複文とは文中に二つ以上の述語が表れる文です。
この基本的な定義は重文と同じなので、
日本語文法では複文の中に重文を入れています。

複文と重文の違いは、
前件の文と後件の文が対等か対等ではないか、と言うことです。
(重文は対等でした)

複文の例を見ていきましょう。

(例)台風が来たので、学校はお休みです

この例文には述語①「来た」述語②「お休みです」のように、
一文の中に述語が二つあります。

この二つの述語は対等ではありません
前件の文が原因を表し、後件の文がその結果です。
そのため、前件の文と後件の文を入れ替えることができません。

こうした文を「複文」と言います。

この、単文、複文、重文は国文法の分け方です。

日本語文法では 単文、複文の二つに分け、
複文を節の概念を使って、二つに分けます。

日本語文法の複文の分類方法

日本語文法では、重文と言う言葉を使いません。
その代りに、「」という考え方を用います。

節には主節、従属節、並列節があります。

(1)並列節

「節」とは述語を持った言葉の集まりです。
以下の例文は
「雨が降り」という節と「風が吹く」という節からできています。

(例)雨が降り、 風が吹く。

そして、
「雨が降り」と「風が吹く」は対等な関係です。

並列節 + 並列節 = 複文

つまり、並列節の複文となります。

*その他の並列節複文の例

(例)兄はスポーツが好きで、 妹は読書が趣味だ。

前件の並列節と後件の並列節は対等です。
そこで、
前件と後件の文を入れ替えても、文の意味は変わりません。

国文法でいう重文とは
日本語文法では、並列節の並んだ複文となります。

(2)主節と従属節

二つ以上の述語を持つ複文では、
より主要な出来事を表す述語とそれ以外の述語を区別します。

主要な出来事を表す文の方を主節
それ以外の述語を持つ文を従属節と呼びます。

以下の例文は
「台風が来た」と「学校は休みです」という節からできています。

(例)台風が来たので、学校は休みです
「台風が来た」と「学校は休みです」は対等ではありません。
前件が原因、後件がその結果です。

前件と後件の文とでは意味の伝達上、後件の方が重要な出来事を表すです。

そこで、
後件の「学校は休みです」が主節となり、
前件の「台風が来た」が従属節となります。
以下の例文は

(例)台風が来たので、学校は休みです

従属節 + 主節 = 複文

従属節と主節からなる複文となります。

日本語の場合、最後の文に重要事項を持ってきますから、
たいてい、後件の文が主節となります。

*その他の従属節+主節複文

(例)ゆうべ、背広を着たまま、 寝てしまった

この文も、前件が従属節、後件が主節です。
「どう」寝たのか、というと、「背広を着たまま」寝てしまったのです。
「背広を着たまま」は、
この文の重要な意味を表す「寝てしまった」にかかっています。
そこで、
前件が従属節、後件が主節になります。

*単文は、述語が一つなのに対して、
複文は述語が二つ以上あります。以下の例文のように、
二つ以上従属節を持つ複文もあります。
(例)ゆうべお酒を飲み過ぎたら、 今日は二日酔いで
   
 (従属節①)        (従属節②)

   会社を休むはめになった
     (主節)

   

*従属節は また、主節とどのような関係にあるのかで、
色々に分類されます。

「名詞節」「連体節」「連用説」「補足節」「副詞節」・・・・
などです。
これらの節に関しても、いずれ詳しく見ていくつもりです。

ではではニゴでした。

サブコンテンツ

このページの先頭へ