「原因」「誘発」の使役
「原因」の使役と「誘発」の使役
使役:Aが Bを Vさせる
「原因」の使役と「誘発」の使役の基本的意味は
「Aという出来事 が Bを Vさせる」
ある原因Aが、必然的にBに ある結果を引き起こす、ということです。
「原因」の使役
(1)事故に対する認識の甘さが、事態を 悪化させた。
(2)この寒さが パソコンのバッテリーを消耗させた。
(3)この塾のおかげで、息子を 東京大学に合格させることができた。
●「原因」の使役は、中級で勉強します。
書き言葉で使う、堅い表現が多くなるからです。。
●例文(1)(2)のように、対象は無情名詞です。
例文(3)のように、有情名詞の場合もあります。
Bが無情名詞の場合
(1)設計ミスが 電車を 脱線させた。
(2)電圧の違いが この精密機械を 狂わせたのだと思う。
Bが有情名詞の場合
(3)あの大火事が 彼女に やけどをおわせた。
(4)あの失言が 社長を 失脚させた。
「誘発(感情の原因)」の使役
(5)学生のとある質問が 教師を 驚かせた。
(6)子犬は 家族みんなを 楽しませている。
(7)子供は いい成績をとって、両親を 喜ばせた。
●「原因」の使役と「誘発(感情の原因)」の使役は、
使う動詞が異なります。
「誘発」の使役は、人の感情を表す動詞を使います。
「泣く」「笑う」「怒る」「悲しむ」など・・・・
●そこで、動作主も有情名詞をとります。
(8)ガキ大将は蛇を見せて、女の子を こわがらせた。
誘発(感情の原因)の使役をご覧になりたい方は こちらをどうぞ。
>>誘発(感情の原因)の使役
(5)(6)(7)のような、やさしい「誘発の使役」は、初級で学びます。
(8)無差別サイバー攻撃が、企業を おびえさせている。
(9)A社の無責任極まる対応が、国民を あきれさせた。
(10)A選手の記者会見での暴言が 監督を 激怒させた。
(8)(9)(10)は、語彙は難しいのですが、やはり
「誘発の使役」です。
(8)の対象は企業で、有情名詞ではありません。
でも、意味としては、企業で働く人々ということで、
有情名詞と見なせます。
慣用的表現としての使役
Aは Bを Vさせる
①BがA(人)の体の一部分である使役
(1)この問題が 彼の 頭を悩ませていた。
(2)お酒が入って、つい、口を滑らせてしまった。
(3)彼女は 気を利かせて、コーヒーを持ってきてくれた。
こうった表現はたくさんあります。
「頭を働かせる」「息を弾ませる」「体を休ませる」「顔を曇らせる」
「顔をほころばせる」「髪をなびかせる」「口をとがらせる」「声を弾ませる」
「心を躍らせる」「神経をとがらせる」「目を光らせる」「目を楽しませる」
「目を走らせる」「胸を膨らませる」「歯をカチカチ言わせる」など。
②Bが無情名詞である場合
(1)杉の木が 花粉を 飛散させた。
(2)桜は 3月下旬に 花を 咲かせる。
(3)D51機関車は 煙を たなびかせながら、走っていった。
この場合も①と同じで、Bは、Aの一部分です。
(花粉は 杉の木の一部分です)
このような表現もたくさんあります。
「車輪をきしませる」「轟音をうならせる」「雷鳴をとどろかせる」
「筆を走らせる」「短刀をのぞかせる」「札束をちらつかせる」など。
ではでは ニゴでした。