「責任」の使役
「責任」の意味を表す使役
「お待たせして、申し訳ありませんでした。」
このフレーズ、毎日のように聞きますよね。
慣用的ともなっているこの言葉、よく考えてみると、
使役文です。
使役文には、このように責任の意味合いを感じさせるものがあります。
それは 「強制」「許容」「原因」、どの使役文でもあり得ます。
使役:Aが Bに/を Vさせる
①Aが、その文の責任者であること。
②Aにとって、使役文で述べている出来事が不本意であること。
この2点があるときに、責任の意味合いを含む使役文となります。
(1)(財布を忘れたので)彼女に ランチ代を 払わせてしまった。
①ランチ代を払わせた責任者Aは 私。
②ランチ代を払わせたことは、私にとって不本意である。
そこで、(1)は責任の意味合いをもつ使役文となります。
●責任の意味合いを表す使役文には、後悔のニュアンスがあるので、
後悔を示す表現「~てしまった」とよく一緒に使われます。
また、(1)の文で、ランチ代を払わせたことが、
私にとって不本意でなければ、
(1’)(この間は私がおごったので、今日は)
・彼女に ランチ代を 払わせた。
のように、「強制・指示」の使役になります。
もう少し、責任の意味合いのある使役文を書いてみます。
(2)人身事故で電車が遅れ、お客様を 待たせてしまった。
(3)私の不注意で 彼に けがをさせてしまった。
(4)株に手をだし、会社をつぶしてしまった。
(5)(私は)病気で、子供を 死なせてしまった。
(5)の場合、A(私)は責任者ではないようです。
でも、私が何もしなかった(できなかった)ことによって、
子供が死ぬという出来事を許してしまった(許容の使役)。
こういった事態を防げなかったのは、私の責任だと、
言っています。
冒頭で示した:(例)「お待たせして、申し訳ありません。」
の逆バージョン:「この店は 客を こんなに待たせるのか。」
(6)この店は 客を こんなに待たせるのか。
(6)は、(例)と反対で、責任者が私ではなく、相手方です。
こういったときは、相手方に責任を求める、非難する意味になります。
(7)小学生をこんな店で働かせるとは、言語道断だ。
(8)こんな炎天下の中で 子供たちを遊ばせたから、
みな熱中症になってしまったんだ。
●責任の所在が 自分にあるときは、後悔を、
責任の所在が、相手方にあるときは、非難を表します。
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ではでは ニゴでした。