「強制・指示」「許可・放任」の使役
使役文の基本的な意味
①強制・指示の使役
(1)私は 嫌がる子供を 無理やり歯医者に 行かせました。
(2)部長は 部下を ベトナムへ 出張させました。
②許可・放任の使役
(3)(子供がゲームをしたいと言ったら)私は 子供に ゲームをさせます。
(4)私の意見についての反論は、言いたい人には 言わせておきます。
③誘発(感情の原因)の使役
(5)陳さんは冗談を言って、みんなを 笑わせました。
(6)陳さんは友達の日記を読んで、友達を 怒らせました。
使役の基本的な意味は この3点に分類しました。
①「強制・指示の使役」の「強制や指示」は使役の典型的な意味です。
①「強制・指示の使役」と②「許可・放任の使役」との違いは、
私がどのくらい影響力をもち、それを行使しているのか、の違いです。
①「強制の使役」の(1)は、私は子供の気持ちを考慮していません。
①「指示の使役」の(2)は、私は部下の気持ちを考慮していません。
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②「許可の使役」(3)は、私は子供の意向を聞いています。
②「放任の使役」(4)は、私は相手の意見をそのままにしています。
●②「許可」の使役文(3)は、授受の表現(~てくれる、~てもらう、・・・)
などと一緒に使うことが多くなります。
(7)お金がなかったころ、この店のご主人は よくタダで食べさせてくれた。
(8)気分が悪かったので、先に帰らせてもらった。
●初級で「②許可の使役」から、
「~させていただけませんか」と「許可を求める」表現を
学習するのは、このためです。
(9)すみませんが、ここで少し休ませていただけませんか。
●②「放任」の使役文(4)は、「~ておく」などの表現とよく一緒に使います。
(10)先生は 10分間だけ、学生を好きなようにしゃべらせておいた。
「強制・指示」の使役・対象が無情名詞
(1)両親は 嫌がる息子を 外国へ留学させた。
「強制・指示」の使役は 対象(=息子)は、有情名詞です。
「物」に「強制や指示」はできないからです。
●ただし、非情名詞でも、それが擬人的に使える場合は使役文になります。
(2)山小屋の主人は 食料を ヘリコプターに 運ばせた。
(3)いまどきは 掃除はすべて ロボットに やらせる。
(4)この絵は コンピューターに 描かせたものです。
●(2)~(4)は非情物(ヘリコプター・ロボット・コンピューター)を
人格的に扱っているので、使役文を作れます。人格があるように扱えない
非情物は 使役文には使えません。
(5)×この表は 電卓に 計算させました。
(6)×この水墨画は 筆に 描かせました。
初級の「許可・放任」の使役
(1)(お菓子を食べたいと言ったら)私は 子供に お菓子を 食べさせます。
「強制・指示」の使役と「許可・放任」の使役の違いを 明確にするために、
(2)先生は 学生に 自由に 意見を発表させました。
(3)母親は 子供に 好きな おもちゃを 買わせました。
(2)(3)のように、「自由に」「好きに」といった表現を使うと、
「強制・指示」の使役との違いが、はっきりします。
*「放任・許可」の受身も、「強制・指示」の受身と同様に
上位者から下位者への「許可・放任」となります。
「放任・放置」の使役
(1)母親は 子供を 遊びたいだけ 遊ばせておいた。
(2)冷蔵庫に入れ忘れて、おかずを 腐らせてしまった。
(1)「放任の使役」の動作主(子供)は、有情名詞です。
(2)動作主=対象(おかず)が、非情名詞になると、「放置」の意味になります。
*「放置」の使役は、対象が非情名詞ですから、
上位者が下位者をといった制約はありません。
(3)母親は 赤ちゃんを コインロッカーに置き去りにして 死なせてしまった。
(3)は 動作主=対象(赤ちゃん)が有情名詞ですが、意味は放置の方が適切かもしれません。
ただし、対象は有情名詞(人)なので、上位者→下位者といった制約があります。
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ではでは ニゴでした。