他動詞の使役文の助詞
自動詞の使役文
(1)先生は 学生(○を/○に) 走らせた。
(2)先生は 学生(×を/○に) グランドを 走らせた。
●移動の場所を示す助詞として、「を」を使う場合、
「を」が、重なってしまうので、使役の動作主には、
「に」を用います。
原則として、日本語は、同じ意味の助詞を重複させてはいけません。
ただし、同じひらがなを使っていても、
意味機能としては、違う種類の助詞になるときは、
その限りではありません。
(2)の自動詞文の「を」は、違う意味の助詞ですから、
重複させても完全な非文とはなりませんが、
やはり、「に」を使う方が 自然です。
次に、他動詞の使役文で「に」の連続が
おこる場合を見てみます。
他動詞の使役文
(1)他動詞
S は [人]に [何か]を [他動詞の使役の形]
先生は 学生に テキストを 読ませた。
(1)他動詞 : 動作主(人=学生)は、ニ格。
他動詞は「テキストを」というヲ格があるので、
動作主は必ず「(学生)に」のように、「ニ格」となります
ただし、他動詞の中にも「に格」をとる動詞もあります。
「かみつく」「とびかかる」
「賛成する」「反対する」・・・などの動詞は
(2)犬は 子供に かみついた。
(3)警官は 犯人に とびかかった。
(4)私は この意見に 賛成します。
(5)私は この意見に 反対します。
その対象に「~に」をとります。
こういった動詞を 使役文にしてみます。
(3’)警官は 犬 (○を/○に) その犯人に とびかからせた。
(4’)部長は 部下(○を/○に) その意見に 賛成させた。
自動詞文の場合は、助詞の重複を避けました。
(例)先生は 学生(×を/○に) グランドを 走らせた。
他動詞文の場合も、「に」の重複を避けて、
動作主(犬・部下)の助詞を「を」にすることもできます。
また、「に」を重複させても、不自然ではありません。
動詞とその動詞が必要とする助詞の結びつきが、強いからでしょう。
他動詞の使役は 動作主は、「に」を使います。
「に」が重複するときでも、「に」を使っても大丈夫なので、
学生にとっては、わかりやすいと言えます。
やはり、難しいのは自動詞の使役です。
いつ「に」を使い、いつ「を」使うのか、規則があるので、
覚えなければなりません。
でも、そんなに複雑なルールではありません。
(注)「かみつく」「とびかかる」「賛成する」「反対する」
などの動詞は寺村秀夫先生の説をとり、他動詞としました。
寺村先生によりますと、
「かみつく」「とびかかる」「賛成する」「反対する」
などの動詞は直接受け身になれるため、他動詞に分類されています。
*自動詞の使役の基本的な助詞について知りたい方は、こちらをどうぞ。
>>使役の助詞「に」「を」
ではでは ニゴでした。