~たり(~たり)する
「~たり(~たり)する」の意味
1、例示・並列の「~たり(~たり)する」
「~たり(~たり)する」は、いくつかの行為や事柄の中から、
例をあげるときに、使います。
(例1)日曜日は、テレビを見たり、本を読んだりします。
この文意は、日曜日は、テレビ見ることと、
本を読むことだけをするのではありません。
ほかにも、同じようなことをします。
ということを暗示しています。
また、「~たりする」の形で使うこともあります。
(例2)わからないことは、インターネットで調べたりします。
意味は同様に、インターネットだけで調べるのではなく、
いろいろな方法で調べることを暗示しています。
2、例示・並列の「~たり(~たり)する」の注意点
これは、学生の作った文です。
(例1)きのうは、郵便局に行ったり、コーヒーを飲んだりしました。
どこがおかしいのでしょうか。
例示・並列の「~たり(~たり)する」の注意点として
「~」の部分は、同じグループの言葉が来なければなりません。
「郵便局へ行くこと」と「コーヒーを飲む」ことは、
母国語話者にとって、同じグループとは思えません。
しかし、以下のような文は違和感がありません。
(例2)休み時間は、コーヒーを飲んだり、たばこを吸ったりします。
(例3)きのうは、
・・・・・郵便局に行ったり、銀行に行ったりする用事があって、忙しかった。
つまり、並べる事柄が、同じグループならいいわけです。
授業をするときには、このグループ分けをしっかり考えてから、
導入したほうがいいですね。
これも学生が作った文です。
(例4)きのうは、顔を洗ったり、ひげをそったりしました。
これは、どうしていけないのでしょうか。
「顔を洗う」と「ひげをそる」は、同じグループです。
でも、きのうという一日のくくりの中では、
当然、誰もがすることです。
取り立てて言う事柄ではありません。
「~たり(~たり)する」は、たくさんのことをした中から、
大事だと思うことをピックアップして述べる表現です。
ですから、
習慣的行為や取り立てる必要のない行為を
「~たり(~たり)する」で表現することはできないのです。
(例5)朝、5分で顔を洗ったり、
・・・・・ひげをそったりしなければならないので、大変だ。
(例5)のように、5分でするとなると、
「当然誰もがする」ことではなくなりますから、非文ではなくなります。
3、対の動作の「~たり(~たり)」する
(例1)動物園のシロクマは、おりの中を、行ったり来たりしている。
(例2)赤ちゃんは、泣いたり、笑ったり、かわいいですね。
これは、動作が繰り返し起こることを表します。
「行くー来る」「上がるー下がる」「立つー座る」など、
対の言葉が使われます。
(例4)こんなことになるなんて、踏んだり蹴ったりだ。
(例5)こら、鉄也、飛んだり跳ねたりしない!
(例4)(例5)のように、同グループの言葉を、
対にして使ったりもします。
(例6)この頃は、暑かったり、寒かったりで、洋服選びが難しい。
(例6)のように、形容詞が来ることもあります。
(例7)薬は、飲んだり飲まなかったりしては、いけません。
また、肯定形と否定形を並べて使うこともあります。
これは「~する場合と、~しない場合がある」という意味を表します。
4、その他の「~たり(~たり)する」の注意点
「~たりする」の「する」の部分は、
「~たりしている」「~たりした」
のように、文全体のテンス・アスペクトを表します。
また、
「~たりしてください」
「~たりしたほうがいいですよ」
「~たりしたいです」のように、
いろいろな表現と組み合わせることができます。
授業の際には
文末をいろいろ変化させて、練習したいですね。
ではでは ニゴでした。