「みんなの日本語」と「~ている」表現(1)
「みんなの日本語」は「~ている」表現を何課で導入しているのか
「~ている」表現と動詞の関係
「~ている」表現は動詞の分類と密接な関係があります。
動詞の分類について、詳しく知りたい方は、以下をクリックしてみてください。
>>アスペクト(時間の流れに焦点をあてる)文法形式
「~ている」表現の主な用法
「~ている」表現の主な用法は、
(1)動作の継続(進行)と(2)結果の状態です。
「~ている」表現を、
文法的なくくりで大きく分けると、
この二つに集約されます。
しかし、細かく分類すると、少なくとも6つの意味用法があります。
文構造といった文法(形)だけを重視して、
「~ている」表現を
第一課(1)動作の継続(進行)
第二課(2)結果の状態
のように、二回に分けて導入したとします。
すると、形が同じだからと言う理由で、意味は六つもあるのに
たった二回ですべてを学ぶことになります。
学習者にとっては、覚える負担が、かなり大きいと言えます。
そこで、ほとんどのテキストが、「~ている」表現を
二つではなく、もっと細かく分類しています。
そして、多くの課を使って、その分類した意味を導入しています。
いくつに分けるかは、テキストによって異なります。
「~ている」表現の文法(形)から見たわけ方の弊害
自分が新しい外国語を学ぶことを想像してみます。
一つの課に、文の構造としては同じものが提出されます。
しかし、同じ文構造なのに、
意味が6つも7つもあるとしたら、
どう感じるでしょうか。
意味1のときは、いつ、どうやって使うのか、
意味2のときは、いつ、どうやって使うのか、
意味3のときは?
この意味1,2,3、・・・の違いは、なんなのか?
このように、いくら形が同じでも、同時に何通りもの
使い方を学ぶことは、とても難しいものです。
●「みんなの日本語」は、形が同じときには、意味が違っていても、
一緒に導入してしまうことの多いテキストです。
ですが、「~ている」表現に関しては、4課に分けて導入しています。
(第14課・第15課・第22課・第29課)
優秀な学生が学ぶとしても、
6つも7つもある意味を同じ課で導入するのは
不可能だと判断したのでしょう。
「~ている」表現の意味から見たわけ方
では、文法から離れ、意味から分類する利点とは何でしょうか。
会話にスポットをあてて考えます。
会話とは「伝えたいこと」があって、
初めて相手に、その事柄を伝えようとします。
そこで、会話を上達させるためには
「伝えたいこと」ごとに、分類し、
勉強するのが、一番効率的です。
こうすることによって、学習者は
今日の文型を使いながら、学ぶことができます。
意味上の分類なので、違う意味の時には、形は同じでも、
別の課で、もう一度勉強することになります。
その時には、当然以前の課の復習も行われるので、
定着率が格段に向上します。
形の上では同じでも、意味や用法が異なる場合は、
提出する課を分ける。
会話の上達を目指すなら、一番大切なポイントです。
次回からは、「みんなの日本語」の「~ている表現」の
提出順に従って、解説していきます。
>>「みんなの日本語」と「~ている」表現(2)
ではでは ニゴでした。