「~ている」表現(4)結果の状態(維持)

前回は「~ている」形の
(2)「進行中」(3)「繰り返し」「職業」などについてみてきました。
「進行中」の用法にもいろいろな意味がありました。

また、「~ている」形では、
動詞の種類、副詞(的な語)、文脈などによって、
意味・用法が変わるということもわかりました。

ここでは、「~ている」形の「結果の状態(維持)」について考えます。

「~ている」形・結果の状態(維持)

(1)なまけものは、いつも木にぶら下がっています

(2)兄にお金を貸しています

「~ている」形、「結果の状態(維持)」とは

動作主が動くことによって、動作主の状態が変化します。
その変化した状態(結果)を
動作主が自分の意志で維持していることを表しています。

(1)なまけものは、いつも木にぶら下がっています

つまり、なまけもの(動作主)が動く(ぶらさがろうとする)ことによって、
なまけもの(動作主)の状態が変化します(ぶら下がります)。
その変化した(ぶら下がった)状態(結果)を
動作主(なまけもの)が自分の意志で維持している、ということです。

(1)ロンさんは さっきから、ずっと立っています

ロンさんは、自分の意志で立ち(変化)、
その状態(変化の結果)を維持しています。

(2)タムさんは ソファーで横になっています

タムさんは自分の意志で横になり(変化)、
その態勢(変化の結果)のままでいます。

結果の状態・注意点(1)着脱動詞

ここからは、特に注意しておいた方がいいポイントを述べていきます。
(1)動作動詞としての「着る

<試着室で>
店員:お客様、いかがですか?
お客:もう少し待ってください。今着ているところですから。(進行中

(2)変化動詞としての「着る

A:キムさんて、どの人?
B:あの白いセーターを着ている人よ。(結果の状態

着る」は動作動詞でもあり、変化動詞でもあります。

着る」という動詞は
自分に対して何か動きをして、その結果、自分が変化します。

つまり、動作の方に焦点をあてると、動作動詞の働きをし、
(1)のように「進行中」を表します。(今着ているところです)
変化の方に焦点をあてると、変化動詞の働きをし、
(2)のように「結果の状態を表します。(セーターを着ている人)

こうした、脱いだり、着たり、身につけたりする動詞を
着脱動詞と言います。

<その他の着脱動詞>

「着ます」「はきます」「かぶります」
「(ネクタイを)します」「(眼鏡を)かけます」・・・・・・

(1)着脱動詞「進行中

A:まだ~。早くしてよ。
B:ちょっと待ってよ。今、帯を締めているところだから。(進行中

(2)着脱動詞「結果の状態

トムさんは、夜運転する時でも、サングラスをかけている。(結果の状態

 

「化粧する」も動作変化も表せます。

(1)化粧する・動作進行中

A:あと、どのくらいかかるの?
B:今、化粧しているところだから、もう少し待ってくれる。(進行中

変化動詞としての「化粧する」は結果の状態を表します。

(2)化粧する・変化結果の状態

日本人女性は、とてもきれいに化粧していると思います。(結果の状態

*こうした動詞は、「結果の状態」の方が、よく使われます。

結果の状態・注意点(2)「知る」

「知る」という動詞は、特別です。

A:彼女の名前を知っていますか。
B:さあ、私は知りません
Cさんなら、知っていると思いますから、Cさんに聞いてみたら、どうですか。

知っている」の否定形は 「知っていません」 になりません。
知りません」を使いますよね。

私たち日本人にとっては、当たり前すぎて、気づきにくいものです。

学習者は 「知っていません」と言いがちです。

(1)これを知っていますか。
はい、知っています / いいえ、知りません。

これは、「~ている」表現の時に入れるのではなく、
一つの語彙表現として、初級の早い段階で導入してしまいましょう。

結果の状態・注意点(3)学生の良く間違える動詞

「~ている」表現の「進行中」からの派生表現で、
「繰り返し」や「習慣」がありました。
「毎日」「よく」などの語と一緒に使います。

(1)毎日 3キロ 走っています。(習慣

また、そこから、「職業」も派生していきました。

(2)大学で、日本文学を教えています。(職業

また、職業と同じくくりで、「専門」として、

(3)大学で日本文学を学んでいます。(専門

ということも言えます。

ここで、問題になるのが以下の動詞です。

(1)銀行 働いています。
(2)銀行 勤めています。

A:午前中は 何をしていますか?
B:コンビニ働いています

「何をしていますか」と尋ねたときに、
「コンビニ働いています」とは、答えられても、
「コンビニ勤めています」とは、答えられません。

つまり、「働く」は動作動詞なので、
「~ている形」にすると、「進行中」を表し、
そこから派生した用法として「職業」も表せます。

●「働く」の中心的用法・進行中

キムさんは 今コンビニで働いています。(進行中

●「働く」の派生した用法・職業

(ロンさんは大学を卒業してから)
コンビニで働いています。(職業

勤める」は もともと状態動詞「ある」や「いる」に近い意味を持つ
変化動詞です。そこで、「~ている形」にすると、「結果の状態」となり、
それが、たまたま、語彙の意味として職業を表します。

トムさんは 銀行勤めています。

トムさんは銀行に勤めた結果、その状態が続いています。

これは、助詞からも よくわかります。

」は、動作が行われる場所を表し、
」は、存在する場所を表しています。

「銀行勤めている」は、
会社にいる「結果の状態」を表しており、語彙の意味として「職業」を示します。

同様な例をもう一つあげておきます。

鎌倉生活しています。
鎌倉住んでいます。

結果の状態を表す

「結婚しています。」
「住んでいます。」
「持っています。」

などは、たいてい「~ています」の形で使われます。
しかも、日常でよく使われる語彙です。

「結果の状態」として、勉強するよりも、
語彙として、初級の早い段階で、導入してしまいましょう。

●次は結果の状態(残存)を見ていきます。

https://www.tomojuku.com/blog/teiru5-2/

●「~ている」表現の全体像(1)をご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。
https://www.tomojuku.com/blog/teiru-zentai/
●「~ている」表現(2)進行中(3)繰り返しをご覧になりたいかたは
以下をクリックしてください。
https://www.tomojuku.com/blog/teiru2and3/

 

ではではニゴでした。

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