「みんなの日本語」と「~ている」表現(5)
「みんなの日本語」第29課
(6)結果の状態
(1)
ドアが 開いています
車が 止まっています
ガラスが 割れています
(2)
この袋は 破れています
そのコピー機は 故障しています
あの木は 折れています
●(1)は見たままを客観的に述べる「現象文」
「物が + 自動詞~ている」
●(2)は話者の主観的な判断を述べる判断文です。
「物は + 自動詞~ている」
「結果の状態」は、もう少し細かく分けた方が
学生にとっては、わかりやすくなります。
結果の状態(1)結果の状態
ある動作が行われた結果、
その動作をすることによって変化した状態が
残っていることを表します。
窓が あいています
電気が ついています
窓を開けた結果、あいている状態が残っています。
結果の状態(2)単なる状態
その状態を引き起こした、動作の過程を問題にしない
「単なる状態」を表します。
この道は まがっています
この刀は とがっています
アンさんは 太っています
アンさん親子は よく似ています
こういった動詞は、たいてい「~ている」の形で用いられ、
形容詞のような働きをします。
「この道は まがっています」の文を見て、
そのまがっている状態を引き起こした、
動作の過程を、意識することは、普通ありません。
このように「結果の状態」は二つに分けた方が
学生にとっては、わかりやすくなります。
(1)結果の状態(2)(結果の状態の)単なる状態
「~ている」表現と副詞
「~ている」表現は、副詞がつくことによって、
意味が決まることもあります。
(例)「教えています」
(1)動作の継続(進行)
コムさんは 今 日本語を教えています。
(2)習慣(反復・継続)
田中さんは 毎日 日本語を教えています。
(3)経験
若いころ、一年間、日本語を教えていました。
(4)職業
A:ソフィーさんのお仕事は?
B:フランス語を教えています。
このように、同じ「教えている」という動詞でも、
副詞(あるいは状況)を変えると、違った用法になってしまいます。
ということは、「~ている」表現を導入する際には、
副詞に、注意を払わなければなりません。
(状況設定もですね)
●「~ている」表現の時には
安易に副詞を使わないようにしましょう。
「~ている」表現と副詞・練習問題
●次の(1)(2)は、「~ている」表現の
どの分類にあたるでしょうか。
(1)私は毎日学校に行っています。
(2)キムさんは今買い物に行っています。
(1)は、副詞「毎日」がありますから、「習慣」を表します。
(2)は、「移動動詞+~ている」で、
キムさんは今出かけていて、家にいないということです。
●では、つぎの(3)は、どちらの意味でしょうか。
(3)キムさんは 学校に行っています。
副詞「毎日」の意味なら、習慣で、(1)
「今現在」の意味なら、(2)になります。
状況設定がしっかりしていれば、間違えることはないかもしれません。
しかし、言葉だけだと、どちらにも取れてしまいます。
学習者にとっては、迷う原因となってしまいます。
「~ている」表現を導入する際には、副詞、状況設定等
の配慮が必要です。
●「移動動詞+~ている」を
ご覧になりたい方は、コチラをクリックしてください。
>>「みんなの日本語」と「~ている」表現(4)
「~ている」表現、その他の分類
●「完了」
もう、会議は 始まっています。
●「経験」
何度も、北海道を旅行している。
●「記録」
奈良県では、数年前に新たな古墳が見つかっている。
ではでは ニゴでした。