て形(その3)
「て形」の付帯状況
(例1)ご覧ください。
・・・・日本選手団が
・・・・オリンピック会場に
・・・・胸を張って、
堂々と入場してきました。(付帯状況)・・・・・・む
「て形」の「付帯状況」について、
上記の例文をもとに、その特徴を上げてみます。
1.「付帯状況」の後ろの文(主節)の述語は
・・・意志的な動きを表す動詞が用いられます。
→堂々と入場してきました
2.「付帯状況」の前の文と後ろの文では
・・・・・・・・・・・・・主語が同じです。
→(例1)日本選手団が
・・・・・オリンピック会場に
・・・・・胸を張って、
(日本選手団が)堂々と入場してきました。
3.「付帯状況」の前の文と後ろの文で起こっている動きは
・・・ほぼ同じ時間で起こっています。
→(例1)日本選手団が
・・・・・オリンピック会場に
・・・・・胸を張って、
・・・・・堂々と入場してきました。
「て形」の付帯状況と
「て形」の「継起」「原因・理由」「並列」との違い
4.「継起(時間的前後関係)」「原因・理由」「並列」を表す「て形」は
比較的単純です。しかし、
「付帯状況」を表す「て形」は、後ろの文が どのような状況や、
状態で行われているのかを、前文で修飾し、説明する用法です。
そこで、様々な意味・用法を持ちます。
これから、「付帯状況」の四つの意味・用法について、見ていきます。
1.「~たまま」と似た働きをする付帯状況
(例)黒のスーツを着て、入社式に臨みます。(付帯状況)
「付帯状況」の後ろの文の述語は
意志的な動きを表す動詞が用いられます。
前の文の動詞は、
その人がどんな様子なのか、どんな姿勢なのかを表す動詞、
(1)背筋を伸ばして、歩きます。
着脱の動詞、
(2)曇っているのに、サングラスをして、運転する。
どんなものを携帯しているのかを表す動詞、
(3)大きなリュックを背負って、歩いた。
などが、よく使われます。
「付帯状況1」のて形は、前文で動きが起こり、その状態のままで、
後ろの文の動きが始まることを表します。
そこで「~たまま」と似た働きをし、置き換えられることもあります。
2.心理動詞を用いる付帯状況
「付帯状況」を表すて形は、心理状態を表す動詞が用いられることもあります。
(1)私は喜んで、プロポーズを受け入れました。
(2)彼は電話を切ると、あわてて、部屋から出て行った。
(3)大好きな選手が出場していたため、興奮して、テレビを見ていた。
ただし、このような心理状態を表す動詞の「て形」は、
「原因・結果」の用法に多く見られます。そこで、
(4)彼女は うんざりして、電話を切った。
(4)のような文は、二つの解釈が可能です。
解釈①(付帯状況)彼女は うんざりしながら、電話を切った。
解釈②(原因・理由)彼女は うんざりしたので、電話を切った。
このことからも、「て形」の意味・用法は
「文脈やその文が発話された時の状況」によって、決まることがわかります。
3.「~ながら」と似た働きをする付帯状況
前の文の動詞が動きを表す場合、
その「て形」の意味は、まず、「継起(時間的前後関係)」と判断されます。
(例)念入りに歯を磨いて、ねる。(継起)
しかし、その動きが継続的で、
「前の文が動きながら、そのまま同時に、後ろの文も動く」といった
「~ながら」の意味をもつ場合、「付帯状況」を表します。
このような「て形」動詞は、「~ながら」と似た働きをしています。
(1)手を大きく振って、行進した。
(2)走って、家に帰った。
(3)大きな声を出して、セリフを覚えた。
(4)仁子先生に教わって、漢字を書いた。
また、以下の文は二つの解釈が可能です。
(例)子供たちは 落ち葉を集めて、遊んだ。
解釈①(付帯状況)子供たちは落ち葉を集めるということを
遊びとしていた。
解釈②(継起)子供たちは、落ち葉を集めてから、遊んだ。
4.手段を表す付帯状況
前の文と後ろの文が、ほぼ、同時に進行している文は、
「手段」や「方法」を表すこともあります。
(1)バスに乗って、駅まで行きます。
(2)今はパソコンを使って、いろいろなことを調べます。
以上、付帯状況の様々な意味・用法を見てきました。
各用法は、他の用法にも解釈でき、
意味が連続していることがわかります。
簡単にまとめると、て形の「付帯状況」は
前の文と後ろの文の主語と時間が一致している、
そして、前の文の「て形」が、後ろの文を修飾している、と言えます。
ではではニゴでした。