「~てくる、~ていく」表現(5)

「~てくる」「~ていく」表現の目次

(1)から(3)までの「~てくる・~ていく」表現を見たい方は
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>>「~てくる、~ていく」表現(2)
(4)(5)の「~てくる・~ていく」表現を見たい方は
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>>「~てくる、~ていく」表現(3)

(1)移動の方向

(1)順次動作
(2)平行動作
(3)移動するときの身なり
(4)移動方法
(5)移動の行先
1.主体の移動 2.対象の移動

以下の(2)(3)の「~てくる・~ていく」表現を見たい方は
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>>「~てくる、~ていく」表現(4)

(2)時間の経過

(1)動作の継続

(3)変化(無↔有、小↔大、隠↔顕)

(1)変化
(2)現象の発生「~てくる」のみ
(3)知覚動詞+~てくる、~ていく

このような順番で、「~てくる」「~ていく」表現を見てきました。

ここでは、その他の注意点を書いておきます。

「~てくる」は、動詞の表す現象が、自分に向かって近づいてくる、
「~ていく」は、動詞の表す現象が、自分から遠ざかっていく、
ことを表します。

また、現象の変化は、(1)無↔有、(2)小↔大、(3)隠↔顕
で表すことができます。
(1)桃太郎は、桃から生まれてきました。
(2)雨が強くなってきました。早く帰った方がいいですね。
(3)左手に、スカイツリーが見えてきますよ。

この例は、物理的変化です。

注意点(1)

●「~てくる」「~ていく」は、心理的変化も表すことができます。

*ようやく、この家電の仕組みが、わかってきた。
*うれしくて、踊りたくなってきた。
*気分が高揚してくる。

注意点(2)

●「~てくる」「~ていく」は、事態の変化を時間の流れに沿った移動
というイメージで、表すことができます。
動詞によっては、「~てくる」「~ていく」のどちらか一方にしか
使えないものもあります。

生まれる  死ぬ 見える
聞こえる
遠ざかる
~てくる  ○  ×  ○  ×
 ~ていく ×  ○  ×  ○

注意点(3)

注意点(1)では、物事の状況が心情的に近づいてくる
ことを表せることを見てきました。

●また、「~てくる」には、話題を、その会話の場に提供する、
つまり、自分の発話を相手に投げかける、
という働きもあります。

A:日曜日に、ディズニーランドに行ってきたんですよ。
B:日曜日じゃ、混んでいたでしょう。

これが、「日曜日に、ディズニーランドに行きました。」
では、Bさんは、次に来るであろう話題を待つことになります。

A:日曜日に、ディズニーランドに行きました・・・・・・。
B:それで?

注意点(4)

●日本語の視点

日本語は、英語などの言語と比べると、
話し手の視点から、物事を表現します。
(そこで、「私」が主語に立つときは、ほとんど
言葉では述べません。)

話し手の視点は、「受身」「授受表現」などに、
よく表れています。

*電車の中で財布を盗られました。
(話し手=私が財布を盗られた)
     ↕
英語:someone took my wallet.
(誰かが 私の財布を盗った)

*ヴァレンタインデーにたくさんチョコをもらった。
(話し手=私がチョコをもらった)

●話し手に視点を置く表現には、いくつかの方法あります。
一つは、上記のように、話し手を主語にするもの。

もう一つは、話し手が、「私」自身の内側から見ている、
と言う表現方法です。

*「山が見える」(話し手自身の視点で述べている)

●「~てくる」「~ていく」表現も、文中の話し手を主語にはしませんが、
事象が話し手に向かってくるのか、話し手から遠ざかるのか、
といったように、話し手を中心とした表現であると言えます。

*雨が降ってきた。(話し手に向かってくる)

*年齢を重ねるということは、皆が去っていくということだ。
(話し手から、遠ざかっていく)

●このように「~てくる、~ていく」は、日本語らしい表現であると言えます。

ではでは ニゴでした。

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