~つもりです・その1
「~つもりです」:話し手の意思を表す表現
(例1)卒業したら、就職するつもりです。
(例2)大学には行かないつもりです。
形 : < 辞書形・ない形 > + つもりです
●「~つもりです」は話し手の(個人的な)意志を表します。
●「~つもりです」は話し手が前もって決めたことを述べる時に使います。
そこで、発話しているその時には、すでに意志は固まっていると言えます。
(例1)大学では 日本文学を勉強するつもりです。
(例2)あのイベントには参加しないつもりです。
(例1)→日本文学を勉強するということは
前もって自身で決めていたことを表しています。
(例2)→イベントに参加しないということは
前もって自身で決めていたことを表しています。
そこで、
(例3)A:来週の土日は三社祭りですよ。
B:そうですか。じゃ、参加するつもりです。(×)
上記(例3)のように、今現在の時点で決めたことを
「~つもりです」で表すことはできません。
また、「~するつもりです」には中級で学ぶ
(例4)これを買ったつもりで、その分貯金しよう。
などの「そのつもりになって、その気になって」のような使い方もあります。
ここでは、初級の使い方に絞って、見ていきましょう。
「~するつもりです」は、「みんなの日本語」の第31課に出てきます。
第31課には「~する予定です」も一緒に提示されています。
そこで、
学生にとっては その使い分けが難しくなってきます。
両者の違いはどこにあるのか、考えてみましょう。
「~つもりです」vs 「~する予定です」
(例1)夏休みに北海道を一周するつもりです。
「~つもりです」は
話し手の、つまり自分自身の心づもりを述べるときに使います。
この例では、前もって自分の意志で夏休みの計画をたてた、
ということを表しています。
(例2)3月10日から、出張で一週間タイに行く予定です。
「~する予定です」は、
この例のように、会社(自分以外)の決定で
このようなスケジュールになった、ということを表しています。
(たとえ、この予定が自分で決めたものだとしても、
この文には話し手の意志は表れていません。反対に事務的でさえあります。
この表現を使うことにより、
●この予定は他の人と一緒に決めたことだとか、
●(公的な)既定事項であるから、自分では変更できない、
といったことをほのめかしたいときにも使えます。)
(例3)3月10日から、一週間タイに行く予定です。
(例3)は(例2)と違って、出張ではありません。
自分で決めた可能性も(例2)よりはあります。
しかし、
「~する予定です」という表現を選んだということは、
「そういう予定がある」「そういうスケジュールだ」と、
言いたいということです。
つまり、
「~する予定です」は、どういうスケジュールであるのかを
述べる表現です。
そこで、
「~する予定です」を教える時にはカレンダーや手帳を使って、
スケジュールについて話す、という設定にします。
自分の気持の入っていない、客観的な状況設定にした方がいいですね。
そうして、
自分自身で決めた計画を述べる
「~するつもりです」との差別化を図りましょう。
「~つもりです」の否定形
初級では「~つもりです」の否定形は
「~しないつもりです」の方を提示します。
(例1)A:まだ、ウィンドウズ7を使っているんですか。
B:ええ。ウィンドウズ10には換えないつもりです。
形 : < ない形 > + つもりです
「~つもりです」には、
「~するつもりはありません」という否定表現もあります。
(例2)A:日曜日のビール工場見学、Bさんは行きますか。
B:行かないつもりです。アルバイトがあるので。
A:Cさんは?
C:行くつもりはありません。
この(例2)のBさんは、
「行かないつもりです」を使って、
「行くか、行かないか」の選択肢の中から
単に「行かない」という意志を表明しています。
Cさんのように、「行くつもりはありません」を使うと、
「行かない」という意思表明の裏に何か含みを感じてしまいます。
「行くつもりはありません」は、かなり強い否定となります。
(例3)田中:木村さんも、せっかくだから、二次会に行きませんか。
木村:いいえ、参加するつもりはないんです。
子供が家で待っているので、これで帰ろうと思います。
また、
(例3)のように「~するつもりはありません」は
相手の勧めを強く断るときなどにも、使います。
やはり、
かなり強いニュアンスになりますから、
初級の時には提出しない方がいいですね。
「~つもりです」・第三者の意志表現
「~つもりです」は 話し手の個人的な意志を表します。
ということは、話し手以外の第三者の意志は全く表せないのでしょうか。
(例1)A:Bさん、来週の読書会に行きますか。
B:はい、もちろん、行くつもりです。
A:Cさんは、行くでしょうか。
B:Cさんも行くつもりですよ。
(例1)のように、「~つもりです」は、話し手ではなく、
第三者の意志にもつかえそうです。
しかし、上記の例でも
Cさんも行くつもりだと言っていましたよ。
Cさんんも行くつもりのようですよ。
あるいは「~つもりです」を使わずに
Cさんも行くと言っていましたよ。
のほうが自然です。
第三者の意志というものは普通、本人以外にはわからないものです。
そこで、
第三者の意志がはっきりとわかっている場合に限り、
「Cさんも行くつもりです」が使えます。
初級の段階では
「~するつもりです」は自分の意志表現として、教えましょう。
「その2」では「~つもりです」の質問文について考えます。
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ではではニゴでした。