~つもりです・その2
「~つもりです」・その1では
①「~つもりです」の意味と形
②「~つもりです」と「~する予定です」の比較
③「~つもりです」の否定形
④「~つもりです」は第三者がつかえるのか
などについて見ていきました。
ここでは、その続き「~つもりです」の質問文から、考えます。
「~つもりです」の質問文
(例1)部下:店長、店長も本部の会議に出席するつもりですか。
店長:えっ、うん、まあ・・・。
(例1)で、
店長は部下に上記のように言われ、どんな気分だったでしょうか。
おそらく、自分は上司なのに部下から詰問されたような気になり、
心穏やかではなかったのではないでしょうか。
上記の例文を見てもわかる通り、
目上の方に「~つもりです」を使って質問することは通常できません。
ちょっと尊大な感じがしてしまいます。
(例2)学生:先生、来週のスピーチコンテストいらっしゃるつもりですか。
教師:えっ!まあ、・・・。
(例2)のように、
敬語を使っても「~つもりです」を使うと、かなり不自然です。
この違和感はどうして生じるのでしょうか。
それは、
「~つもりです」は自分の(個人的な)心づもりを述べる表現だからです。
つまり、
「~つもりですか」という質問は
相手の個人的な心づもりを尋ねる質問となります。
こうした相手の私的領域に踏み込む質問は
「いらっしゃるつもりですか?」のように、敬語を使ったとしても、
かなりぶしつけです。
そこで、
「~つもりです」は目上の方に使うと、失礼に当たる、
とはっきり教えましょう。こういうときは
(例2)先生、あしたスピーチコンテストにいらっしゃいますか。
を使った方がいいですね。
「~つもりです」を使って質問はできないのか?
上記で「~つもりです」を使って目上の方に質問することはできない、
とお伝えしました。
では、目上の人でなかったら、使ってもいいのでしょうか。
<小説等>から「~つもりです」を使った質問文の例を
いくつか引いて見てみます。
(例1)君は、この計画を台無しにするつもりか。
(例2)こんなことを調べて、おまえはスパイにでもなるつもりか。
(例3)先輩、本当に会社を辞めるつもりなんですか。
どうでしょうか。
上記の例文は、みな
通常の質問文とは違って何がしかの感情の含みを持っています。
「~つもりです」を使った質問文では、どうして
このように、文中からニュアンスを感じてしまうのでしょうか。
それは
聞き手に行為の意志があるか、ないかを単純に尋ねる場合、
通常「~つもりです」を使う必要がないからです。
(例1)のように「行くか、行かないか」の形で問えば十分です。
(例1)あした行きますか。
では、
「~つもです」を使って、相手の意志を尋ねたくなるのは
どんな場合なのでしょうか。
例えば、以下のようなときは「~つもりです」が自然です。
(例2)(天気予報では明日大雪になると
言っているのにもかかわらず、行こうとしている相手に対して)
●あした行くつもりなんですか。
通常、行かないだろうという前提がある場合、上記のように
それでも「行く意志があるのか」と、確認したくなります。
その行為をすることが理解できない場合に、
「~つもりですか」を使って、確認することになるのです。
(例3)腐りかけているのに、食べるつもりですか。
普通、腐りかけたものは食べません。
そこで、
食べるという行為をすることが理解できず、本当に食べるつもりなのかと、
確認したくなるわけです。
このように、相手の意志を確認したくなるような状況がある場合、
「~つもりです」を使って問いかけるのでしょう。
ここから、「~つもりです」を使った問いかけには相手に対する
強い疑問、不審、不満、非難、などの感情が含まれることになります。
以上のことからも、初級では、
「~つもりです」を質問形にして相手に尋ねる、という練習はしません。
「~つもりです」を使って自分のことを話す、という練習のみを行います。
授業をするときの注意1
(例1)みなさんは夏休みに何をするつもりですか?
「~つもりです」を導入する日の授業では
ついつい(例1)のような質問を学生に投げかけてしまいます。
しかしながら、
「~つもりです」の課ではないときには
「夏休みは何か予定がありますか」
「夏休みはどこかへ行きますか」
といったような質問をしていると思います。
初級の授業の時には
目上に対して「~つもりです」を使って質問をしないように、
と教えるのですから、
教師が不用意に、こうした質問を投げかけないよう、注意しましょう
授業をするときの注意2
以下の例のように
「~つもりです」はその場で決めたことには使えません。
(例1)キム:今からカラオケに行きましょう。
タムさんも行きませんか。
タム:はい、行きます。
ロン:(×)わたしも一緒に行くつもりです。
●「~つもりです」は
「事前に、自分がそのように決定した」という意志を表すときに使います。
つまり「~つもりです」は
心づもり(自分が前もって決めたこと)ですから、
今現在決めたことには、使えないのです。
この点について心にとめておきましょう。
授業をするときの注意3
「~つもりです」を使って目上の方に質問をすると
失礼な文になってしまいます。
「~つもりです」を質問形にして相手に尋ねる練習は
しないようにしましょう。
(例)先生は来週のお花見にいらっしゃるつもりですか。
授業をするときの注意4
「~つもりです」は通常、自分の意志を伝える時に使います。
初級の段階では第三者には使わないようにしましょう。
(例)Cさんも来週のお花見に参加するつもりです。
●「~つもりです」・その2は以上です。
●「~つもりです」・その1では
①「~つもりです」の意味と形
②「~つもりです」と「~する予定です」の比較
③「~つもりです」の否定形
④「~つもりです」は第三者がつかえるのか
について書いてあります。
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ではではニゴでした。