動詞の分類(二項動詞)
前回は動詞を三分類しました。
【動詞の分類(一項動詞・二項動詞・三項動詞)】
以下をクリックすると、前回の記事が見られます。
https://www.tomojuku.com/blog/verb-1/
また、下の表は前回まとめたものです。
動詞の分類表
一項動詞、二項動詞、三項動詞の文型です。
動詞 | 一項動詞 | (1)~が | 温まる、暴れる、光る、降る、冷える、 吹く・・・ |
二項動詞 | (1)~が~を | 助ける、着る、食べる、見る、書く、 作る、こわす、なぐる・・・ |
|
(2)~が~に | かみつく、反対する、甘える、頼る、 あこがれる、ぶつかる・・・ |
||
(3)~が~と | けんかする、戦う、結婚する・・・ | ||
三項動詞 | (1)~が~を~に | 教える、紹介する、与える、借りる、 送る・・・ |
動詞は
どうしてこのように、詳しく分類されるのでしょうか。
それは
日本語が述語文だからです。
(英文法のように「主語ー述語」を中心とした
言語ではないからです。)
日本語は
述語を中心とした言語です。
つまり、
様々な成分(名詞句)が助詞によって結び付けられ、
文の最後に一番大切な述語がくるという構造です。
ですから、
大切な述語である動詞が、
どんな(格)助詞と結びつくのかは
日本語理解のキーポイントとなります。
そこで、
教師は動詞について、
ある程度の知識を持っていることが必要です。
前回は動詞を上記の表のように3分類しました。
しかし、
5分類とする研究者もいます。
5分類法は
一つも助詞を取らない「0項動詞」と
助詞を4つとる「四項動詞」を付け加えます。
0項動詞
(例1)停電する。
(例2)ふぶく。
(例3)春めく。・・・・などなど。
●自然現象を表す動詞は、
(例)雨が降る。
(例)風が吹く。
のように、多くは「ガ格」をとります。
しかしながら、
上記の(例1)~(例3)のように
「ガ格」さえ、取らない動詞もあります。
こうした動詞は
全く助詞を必要としないので、0項動詞と言います。
四項動詞
(例1)桓武天皇が 都を 奈良から 京都に 移した。
(例2)(社会人になって)
兄が 生活を 夜型から 朝方に あらためた。
助詞を4つとる四項動詞には「移す」「改める」のほかにも
「運ぶ」「訂正する」「変える」・・・などがあります。
こうした5分類法もありますが、
初級の学生からすると、3分類の方がやさしく感じます。
ほとんどのテキストは3分類法で教えています。
この3分類法の二項動詞について、
もう一歩踏み込んで考えてみましょう。
二項動詞の格助詞
上記動詞の分類表、
二項動詞の欄(黄色い部分)を見てもわかる通り、
二項動詞文のとる「格助詞」は
(1)「~を」(2)「~に」(3)「~と」
の三種類があります。
以下に例文を記します。
(1)キムさんがコーヒーを飲む。
(2)車がガードレールにぶつかる。
(3)キムさんがリンさんと結婚する
二項動詞で最も多いのが(1)「~を」を取る動詞です。
「~を」を取る動詞は他動性が強い、という言い方をよくします。
動詞の他動性とは他の対象物へ働きかける強さのことです。
他動性の強い動詞は、文に必要な成分を
「を格(=目的格)」で表します。
他動詞のベースとなる考え方です。
→しかしながら、
①「を」を取る動詞だけが他動詞である、という意見と、
②二項動詞(一部を除く)全てを他動詞に含める、
という意見があります。
もう少し「他動性」を具体的に説明すます。
(例)子供がおもちゃを壊した。
「こわす」
という動詞は対象物(おもちゃ)へ働きかける力が強い、
と直感的にわかります。こうした動詞を
他動性の強い動詞と言います。
「こわす」は対象物へ働きかける力が強い、とわかるけれど、
「食べる」「飲む」といった動詞も、同じグループです。
「こわす」に比べると、
対象物に働きかける力が強いといえるのかしら・・・?
と感じられます。
そこで、
少し視点を変えてみます。
(例1)子供がおもちゃを壊した。
「壊す」は
①対象物(おもちゃ)に直接触っている。
②対象物(おもちゃ)は形が変わってしまっている。
と考えられます。
(例2)子供がパンを食べた。
「食べる」も
①対象物(パン)に直接触っている。
②対象物(パン)は食べられて、形が変わっている。
こうしてみると、
「食べる」も「壊す」と同じように
他の対象物への働きかけが強い(=他動性が強い)
ことがわかります。
ただし、注意しなければならないのが
以下の「を」です。
学生が間違えやすい「を」
(例1)公園を散歩する。
(例2)空を飛ぶ。
(例3)一日をのんびり過ごす。
(例1)~(例3)を見てわかるように、
この「を」は「働きかけ(他動性)」の「を」ではありません。
経過する空間や時間を「を」で表しています。
動詞の性質
今回は動詞を他動性、という観点から見ました。
(他動性の強い動詞は直接受け身が作れます)
動詞はその性質によって、いろいろな分け方があります。
例えば
●方向性を持つ動詞
●意志性を持つ動詞と意志性を持たない動詞
詳しくは以下をご覧ください。
https://www.tomojuku.com/blog/verb-2/
●状態的な動詞と非状態的な動詞
→状態的な動詞とは
ある、いる、できる、要る、などの
「~ている」を付けることのできない動詞のことです。
→非状態的な動詞とは
変化動詞、動作動詞、出来事を表す動詞、のことです。
詳しくは以下をご覧ください。
https://www.tomojuku.com/blog/verb/
ではではニゴでした。