推量の表現「~ようです」
推量の「~ようだ」の意味
●「~ようだ」は 話者がその場の状況を見て、判断したことを述べる表現です。
(1)(友人の目にクマができているのを見て)
・きのう、あまり寝ていないようですね。
(2)(上司たちの会話を聞いて)
・あのプロジェクトは 成功したようだ。
(3)(歩いていると、とある家からカレーのにおいがしてきました。)
・この家、夕飯は、カレーのようですね。
(4)(福袋を買う前に触って)
・折りたたみ傘のほかにも、何か入っているようですね。
(5)(あるカクテルを試飲して)
・ワインの中にオレンジジュースを入れたようですね。
●ステップ1「~ようだ」は人間の五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)
を使って得た情報から、総合的に考えて、推量した結果を述べる表現です。
(1)では、視覚を使っています。
(2)では、聴覚を使っています。
(3)では、嗅覚を使っています。
(4)では、触覚を使っています。
(5)では、味覚を使っています。
●ステップ2「~ようだ」は視覚、聴覚はもちろん、現在の状況を見て、
過去の体験も踏まえて、総合的に判断して、述べる表現です。
(6)(空港で。人だかりがしている。黄色い歓声も聞こえる。
ほとんど若い女性だ。welcomボードを持っている人もいる。)
・外国のスターが、来るようですね。
●「~ようだ」は、書き言葉で多く使われ、
話し言葉では「~みたいだ」をよく用いています。
(7)試合は もう、始まったようだ。
(8)陳さんは マックに行かないみたいですよ。
●「~ようだ」は、自分のことについても使うことができます。
(9)(寒気がするし、体が熱い)
・熱があるようです。
(10)(鼻水が出てきて、咳も出る)
・風邪をひいたようです。
●推量の「~ようだ」には、相手を配慮するときに使う
婉曲表現の用法もあります。
(11)A: 田中さんのご主人、リストラされたんですって?
B:ええ。そのようです。
(Bさんは、事実を知っているのですが、田中さんの家族に配慮して、
「~ようです」を使っています。)
推量の「~ようだ」の配慮表現をご覧になりたい方は こちらをどうぞ。
>>推量の婉曲表現「~ようです」
「~ようだ」の形
動詞 | な形容詞 | ||
飲む 飲まない 飲んだ 飲まなかった |
+ようだ | 元気な 元気じゃない 元気だった 元気じゃなかった |
+ようだ |
い形容詞 | 名詞+だ | ||
暑い 暑くない 暑かった 暑くなかった |
+ようだ | 休みの 休みじゃない 休みだった 休みじゃなかった |
+ようだ |
●「~ようだ」は その前に
「動詞」「い形容詞」「な形容詞」「名詞+だ」の普通形をとります。
●「な形容詞」「名詞+だ」の非過去・肯定の接続の形に気を付けてください。
学生には 注意を促しましょう。
(1)田中さんは、コーヒーが嫌いなようです。
(2)佐藤さんは 病気のようです。
「~ようだ」導入のヒント
●1、初級の授業では、まず、ステップ1の意味から入ります。
触ったり、においをかいだり、聞いたり、見たり、
といった、わかりやすい導入を使います。
*注意、たいていの場合学習者は「~そうだ(様態・視覚を使う)」
をすでに勉強しています。そこで、「~そうだ」と「~ようだ」の
違いを際立たせるために、必ず
視覚+触覚、視覚+聴覚、視覚+味覚、視覚+嗅覚・・・
のように、視覚以外のものを加えます。
例えば、袋の中にコインなどを入れて、触らせます。
そして中に何が入っているのかを、あてさせます。
また、においあてをしてたり、
チョコレートをなめてみて、中に何が入っているかを言い合ったりします。
視覚+α(ほかの感覚)がとても大事です。
「~ようです」は、とても楽しい授業になります。
●2、次に、ステップ2の意味に入ります。
(2)の状況を示す絵カードを使います。
「~ようだ」の根拠を言わせながら、導入していきましょう。
●ステップ1で、単純な「~ようだ」をすでに、理解しているので、
この「五感+α」の「~ようだ」も、活発な発言が期待できます。
推量の「~ようだ」の配慮表現をご覧になりたい方は こちらをどうぞ。
>>推量の婉曲表現「~ようです」
ではでは ニゴでした。