動詞の音便・その5

動詞の音便・その5

日本語文法と国文法の違いについての
シリーズ、
今日は その5です。

動詞の活用の種類

前回の
「動詞の活用・その4」では

動詞を活用のパターンによって、
いくつかのグループに分類しました。

日本語文法と国文法とでは
その分類方法が違います。

下の表に
その違いを載せます。

<表1.動詞の活用の種類>

国文法 日本語文法
五段活用動詞  Ⅰグループ動詞
上一段活用動詞  Ⅱグループ動詞
下一段活用動詞
カ行変格活用動詞  Ⅲグループ動詞
サ行変格活用動詞

動詞の活用について
もっと詳しく知りたい方は
以下をクリックしてください。
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動詞の活用・その4

動詞の音便

音便とは
言葉を話す時、発音しやすいように
つまり
便利なように
語の音が変化することです。

例えば

「書きます」を
タ形やテ形にすると
「書ます」
タ形→「書た」
テ形→「書て(ください)」

」の音が「」に
変化しています。

これが「音便」です。

「書た」や「書てください」では
発音しにくかったため、
発音しやすいように
音が「」から「」に変化したのです。

音便が起こる動詞

日本語文法・国文法では
活用のパターンによって
動詞をグループ分けしました。

<表1.動詞の活用の種類>
を参照ください。

このグループの中で
音便変化が起きるのは
「五段動詞=Ⅰグループ動詞」だけです。

●上一段動詞、下一段動詞
(=Ⅱグループ動詞)
●カ行変格活用動詞、サ行変格活用動詞
(=Ⅲグループ動詞)

上記の動詞では
音便変化は起こりません。

<Ⅱグループ動詞>
「食ます」
タ形→「食た」
テ形→「食て(ください)」

<Ⅲグループ動詞>
「来()ます」ます」

タ形→「た」
テ形→「て(ください)」

タ形→「た」
テ形→「て(ください)」

また、
「貸す」「返す」「話す」などは
五段活用動詞(=Ⅰグループ動詞)です。

しかし、
五段活用動詞の中で
上記のサ行五段活用動詞は
音便変化がありません

ます:「かた」→「かて(ください)」
ます:「返た」→「返て(ください)」
ます:「話た」→「話て(ください)」

音便の種類

動詞の音便には
「イ音便」「撥音便」「促音分」
の3種類があります。
例を挙げてみます

促音便
ます:「買た」「買て(ください)」
●小さい「」に変化→「促音便」


撥音便
ます:「読だ」「読で(ください)」
●「ん」に変化→「撥音便」

イ音便
ます:「泳だ」「泳で(ください)」
●「い」に変化→「イ音便」

音便の見分け方

一つの動詞を見て、
これが3種類の音便のうち
どの音便になるのか
どうやって見分けたらいいのでしょうか。

それは
その動詞の活用する「行」
によって決まります。

いうえお→「あ行
きくけこ→「か行
しすせそ→「さ行
ちつてと→「た行
にぬねの→「な行
ひふへほ→「は行
みむめも→「ま行
いゆえよ→「や行
りるれろ→「ら行
いうえお→「わ行

イ音便
「か行」「が行」のⅠグループ動詞

撥音便
「な行」「ば行」「ま行」のⅠグループ動詞

促音便
「た行」「ら行」「わ行」のⅠグループ動詞

で起こります。

具体例を挙げます。

イ音便:「書きます」

ない
ます


「書きます」は上記のように「か行」の
五段活用動詞(Ⅰグループ動詞)ですから、

「書ます」:「書た」「書て(ください)」

イ音便」になります。

撥音便:「飲みます」

ない
ます


「飲みます」は上記のように「ま行」の
五段活用動詞(Ⅰグループ動詞)動詞ですから、

「飲ます」:「飲だ」「飲で(ください)」

撥音便」になります。

促音便:「取ります」

ない
ます


「取ります」は上記のように「ら行」の
五段活用動詞(Ⅰグループ動詞)動詞ですから、

「取ます」:「取た」「取てください」

促音便」になります。

<注意1>

「買います」「思います」「使います」
「言います」「歌います」「戦います」などは
わ行」となります。

具体的に活用させると
よくわかります。

「買います」

「買ない」← 「わ行
「買います」
「買う」
「買えば」
「買おう」

「思います」
「思ない」→「行」

「使います」
「使ない」→「行」

「言います」
「言ない」→「行」

「歌います」
「歌ない」→「行」

「戦います」
「戦ない」→「行」

<注意2>

「か行」「が行」のⅠグループ動詞は
イ音便になりました。
が行」の動詞は

「急ます」

「急ない」
「急ます」
「急
「急ば」
「急う」

タ形 →「急い
テ形 →「急い(ください)」

上記のように
濁音」「」になります。

<注意3>

「な行」「ば行」「ま行」のⅠグループ動詞は
撥音便になりました。
撥音便になる動詞は
」「」のように
濁音となります。

「な行」の動詞:「死にます」
「死ん」「死ん

「ば行」の動詞:「飛びます」
「飛ん」「飛ん

「マ行」の動詞:「読みます」
「読ん」「読ん

音便の例外

(例外1)行きます→「促音便」

「行ます」

「行ない」 「書ない」
「行ます」 「書ます」
「行」   「書
「行ば」  「書ば」
「行う」  「書う」

「行ます」は「書ます」と同じ
か行五段活用動詞」(=Ⅰグループ動詞)
ですから、
本来なら「イ音便」となります。

「書ます」→「書た」

ところが「行きます」だけは

「行ます」→「行た」

のように「促音便」となります。

 

 

日本語文法と国文法・その1
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国文法と日本語文法・その1

 

言葉の単位・その2
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言葉の単位・その2

 

品詞分類・その3
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品詞分類・その3

 

動詞の活用・その4
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動詞の活用・その4

 

動詞のテ形・その6
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動詞のテ形・その6

 

ではではニゴでした。

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