生成AIの危険性に対抗するために(その7)
生成AIは相談するのに最適か?
生成AIの
火付け役となったチャットGPT
サイト分析のシミラーウエブによると、
公開から1年たった2023年11月の
月間閲覧数(ページビュー)は
世界で95億回。
日本はアメリカとインドに次いで
世界で3番目に利用が多い、
との記事が、
2024年2月12日
朝日新聞の一面を飾りました。
そして
同日の日経新聞には、
チャットGPT利用者の
約4分の1が
「会話相手、相談相手として」
利用しているとの
アンケート結果を得たと
記載しています。
開発や業務で使うAIは
世界に後れを取っている日本ですが、
「相談相手」としてのAIは
確実に私たちの日常に
入り込んでいます。
これほど身近になったAI、
とても便利なツールであるAIですが、
危険な面もあります。
そこで
私たちは自分の身を守るために、
また、
学習者の身を守るために
便利さよりも
危うさについての知識を
持っておくことが必要だと考えます。
今回は以下について書いていきます。
・ディープフェイクとは
・アテンション・エコノミーについて
・・アテンション・エコノミーの危険性
・・バズらせたい心の内側
・政治的に悪用されるディープフェイク
・ディープフェイクに対抗するために
・SNSの使い方について、学習者と話し合ってみよう
ディープフェイクとは
ディープフェイクとは
AIの深層学習を意味する
「ディープラーニング」と
偽物を意味する
「フェイク」を
組み合わせた造語です。
本来
ディープフェイクは
AI(人工知能)を用いて、
実際の人物の動画や音声の一部を
人工的に合成する技術を指していました。
これは映画製作など、
エンターテインメントの現場で
作業効率を上げるために
開発されたものです。
最近では
中国の国営メディアである新華社通信が
AIのアナウンサーを起用したことで
話題になりました。
Youtubeで見たのですが
下の画像のAIアナウンサーが
まるで本物の人間が話しているように、
ニュースを読み上げていました。
このように
本物そっくりに加工できる
ディープフェイクの最新技術、
そのため、
悪用されるケースが
急激に増えています。
その結果、
現在では
「ディープフェイク」と言えば
フェイク(ニセ)動画の代名詞となり、
あたかも本物のであるかのように見せ、
相手をだますものとして
認識されるようになってしまいました。
日本でも去年、
岸田首相の偽動画
(ディープフェイク)が出回りました。
下の映像の日本テレビのロゴ等も
全て偽物だそうです。
しかしながら、
加工技術があまりにも稚拙、
また、
話している内容が
あまりにも陳腐で、すぐに
フェイクだと見破ることができました。
こうした
ディープフェイクの技術を使って
偽情報を作り上げる背景には
「アテンション・エコノミー」や
政治的背景があると言われています。
アテンション・エコノミーとは
アテンション・エコノミーとは
情報の「正しさや質」よりも、
過激な内容で
人々の注意をひく方が
経済的に利益が大きい、
とする経済学の概念です。
例えば
事実よりも偽情報の方が
約6倍もの速さで広がる、
といったデータもあります。
そこで
悪意のある発信者は
注目を浴びそうな
偽情報を人為的に作り上げ、
より多く、より速く、
拡散させます。
すると
インターネットの閲覧数を稼ぐことができ、
その悪意ある発信者に
広告収入が入ってくる、
という仕組みです。
アテンション・エコノミーの危険性
調べ物をするとき、
たいていは
誰かのウェブサイトやブログを
探しますよね。
(今では
Youtubeやインスタが主流でしょうか)
ググった結果、
良さそうなブログが見つかります。
そこで
記事を読んでいると、
記事のあちらこちらに
いろいろな広告が出てきます。
そして
広告が出てくると、
なんとなく気になって
見てしまう・・・
あるいは
ポチっと押してしまって、
別のサイトに行ってしまう・・・
などということも
よくあるのではないでしょうか。
これこそが
アテンション・エコノミーの
思うつぼ。
ブログを書いている人は
この広告で収入を得ているのです。
つまり、
ブログ運営者は
私たちに無料で記事を提供し、
私たちの注意を(アテンション)を得ることで、
広告収入を受け取るという仕組みです。
これは
普通のビジネスモデルとなっています。
ところが、
人々の関心を惹けばひくほど、
収入が上がるため、
書いている記事が
真実よりも
私たちの注意(アテンション)をひくことに、
重きが置かれるようになってしまう、
といったことが起こるのです。
バズらせたい心の裏側
・YouTuberが過激になるのも、
・芸能界のウラ話などを暴露するのも、
・インフルエンサーが
・びっくりするような写真をアップするのも、
すべて
人々の注意(アテンション)を
得たいがためといえます。
バズれば収入を手にできるのです。
アテンションは
このように現代経済において
非常に大きなインパクトをもちます。
そのため
社会問題の引き金となってしまう、
といったことが起きています。
政治的に悪用されるディープフェイク
ディープフェイクの技術を
政治的にどう悪用するかと言えば
多くは
敵陣営の評判を落とすためです。
自分側の
あるいは自国側の都合がいいように
世論を誘導したいときに使われます。
今では
誰でも簡単に
ディープフェイクが作れる時代です。
生成AIが浸透した結果、
こうしたディープフェイクが
世の中にあふれ出る事と
なってしまいました。
今は
ますます生成AIの性能が向上しているため、
その情報が
本物なのか、偽物なのか、
見抜くのが本当に難しくなっています。
ディープフェイクに対抗するために
ディープフェイクに
騙されないようにするには
どうしたらいいのでしょうか。
第一に
見抜くことの難しいディープフェイクが
つまり
「偽りの情報」が存在する、
という事実を
知っておくことが大切です。
しかも、
その偽情報は
まことしやかに
「私は真実です」
と訴えかけてくるのです。
こうした事態になってしまった以上、
目の前にある情報は
「間違っている可能性がある」と、
まずは
疑ってかかる必要がありそうです。
「こんな大変な情報は早く
みんなに知らせてあげなくては!」と、
思った時こそ、
慎重な行動をとらなければなりません。
SNSの使い方について
学習者と話し合ってみよう
今の学習者にとって
SNSは
なくてはならないものになっています。
そして、一見すると
私たち教師より、上手に
SNSを利用しているように見えます。
しかしながら、
真のSNSの危うさを
知っているとは限りません。
学習者の国の
教育事情によって
かなりのばらつきが
あるように思われます。
そこで、
こうしたことを授業で
学習者の皆さんと
話し合う機会がもてるといいですね。
上のクラスになれば
格好の討論テーマになります。
話し合いを持つと
学習者がどのように
SNSと向き合っているのかが
よくわかるので、
教師にとっても
とても役立つテーマになります。
学習者を
より深く理解できるようになれます。
SNSや生成AIと
共に暮らしていかなければならない
時代です。
負の側面は
知識を駆使して避け、
便利な側面を
上手に役立てていきたいですね。
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ではではニゴでした。