動詞のテ形・その6

ここでの大きなテーマは
「日本語文法と国文法の違いについて」
です。今日はその6となります。

前回は「音便」について記載しました。
音便について詳しく知りたい方は
以下をクリックしてください。
↓↓↓
動詞の音便・その5

音便とは?(ちょっと復習)

音便とは
言葉を話す時、発音しやすいように
つまり
便利なように
語の音が変化することです。

例えば

「書きます」を
タ形やテ形にすると
「書ます」
タ形→「書た」
テ形→「書て(ください)」

」の音が「」に
変化しています。

これが「音便」です。

「書た」や「書てください」では
発音しにくいため、
発音しやすいように
音が「」から「」に変化したのです。

音便変化は
Ⅰグループ動詞を
テ形」や「タ形」にしたときに起こります。

日本語を教える時に
テ形」はとても重要です。
どうして重要なのか、
見ていきましょう。

「テ形」の重要性

「テ形」が使われている表現

●「話してください」
●「ここで写真を撮ってもいいですか」
●「ipadを持っています」
●「コンサートが終わってから、
飲みに行きました」
●「あそこに何か書いてありますよ」
●「彼に私の料理を食べてほしいなあ」

思いつくままに例を挙げました。
この例を見ても、
「テ形」は
様々な表現に使われています。

ここからも
日本語教師にとって
「テ形」とは
かなり重要だということが
わかります。

次に
「テ形」の導入について考えます。

テ形の導入

「テ形」は
「辞書形」か「マス形」から
導入するのが一般的です。

多くの日本語の教科書が
「マス形」から勉強を始めるので、
「マス形」から「テ形」を導入することが
多いと考えられます。

どちらから教えても難しさに
違いはありません。

●Ⅲグループ動詞は
「来ます」と「します」だけですから
「テ形」を覚えるのは簡単です。
「きて」と「して」を、
そのままを暗記します。

辞書形 マス形 テ形
来る 来ます 来て
する します して

 

●Ⅱグループ動詞も、
音便変化がないので、難しくありません。
「辞書形」から入るなら
「ね」の「る」を取って、「て」をつけるだけです。
「ね」→「ね」→「ね+て」→「ねて」

辞書形 マス形 テ形
ます ねて る→て
ます→て
たべ たべます たべて
ます みて

「マス形」から入るなら
「食べます」の「ます」を取って、
「て」をつけるだけです。
「食べます」→「食べ+て」→「食べて」

●問題は音便変化のある
Ⅰグループ動詞です。
音便には
「イ音便」「撥音便」「促音便」
の3種類がありました。

3種の音便のうち
どの音便になるかは
その動詞の活用する「行」
によって決まりました。

あいうえお→「あ行」
きくけこ→「」(イ音便
ぎぐげご→「」(イ音便
さしすせそ→「さ行」
ちつてと→「」(促音便
にぬねの→「な行」(撥音便
はひふへほ→「は行」
びぶべぼ→「ば行」(撥音便
みむめも→「ま行」(撥音便
やいゆえよ→「や行」
りるれろ→「」(促音便
いうえお→「」(促音便

促音便
「た行」「ら行」「わ行」のⅠグループ動詞

撥音便
「な行」「ば行」「ま行」のⅠグループ動詞

イ音便
「か行」「が行」のⅠグループ動詞

で起こります。

辞書形 マス形 テ形
促音便 ます って
ます って
ます って
撥音便 ます んで
あそ あそます あそんで
ます んで
イ音便 ます いて
いそ いそます いそいで
はなす←音便変化なし はなます はなして
く ←例外・促音便 ます って

●「辞書形」から覚える時は
太字にした部分がキーポイントとなります。
つまり、
辞書形の一番最後の一字に「て」をつけます。
促音便
「か」→「か+て」
撥音便
「よ、あそ、し」→「よ+で」
イ音便
「か、いそ」→「か+て」「いそ+で」

●「マス形」から覚える時は
「マス形」の「ます」をとって、「て」をつけます。
促音便
「かます、まます、とます」→「て」
撥音便
「よます、あそます、します」→「で」
イ音便
「かます、いそます」→「て」「で」

 

「辞書形」「マス形」
どちらから覚えるにしても
日本語の動詞の活用は
例外が少なく
とても規則正しく変化します。
世界を見渡すと
動詞が変化する言語は
かなり多いと言えます。

日本語
はその中で
群を抜いて覚えやすい言語です

学生には
日本語の活用はやさしい!
ことを強調しましょう。

学生の中には国で
以下のような変化を
歌にのせて覚えた、という話をよく聞きます。
(雪山讃歌やアルプス一万尺などのメロディ)

<辞書形からの場合>

「う・つ・る」→「って」
「む・ぶ・ぬ」→「んで」
「く」→「いて」
「ぐ」→「いで」

<マス形からの場合>
「い・ち・り」→「って」
「み・び・に」→「んで」
「き」→「いて」
「ぎ」→「いで」

でも、残念ながら
これで覚えても
話せるようにはなりません。

国で習ってきた学生も
そのことは
よくわかっているようです。

「せっかく覚えたけれど、
役に立ちませんでした」
と苦笑いしています。

活用は
会話の中の文で覚えた方が早道です。

「テ形」の作り方の文法解説は
簡単にすませ、
(表は配ってあげた方が親切ですね)

「テ形」の入っている文で
話しながら、覚えていきましょう。

子音動詞と母音動詞

「動詞の活用」のところで、
動詞の活用の種類による名称を
表にしました。

国文法 日本語文法の名称
13 五段活用
動詞
Ⅰグループ動詞/Ⅰ類動詞/子音動詞
強変化動詞
14 下一段活用
動詞
Ⅱグループ動詞/Ⅱ類動詞/母音動詞
弱変化動詞/
15 上一段活用
動詞
16 カ行変格
活用動詞
Ⅲグループ動詞/Ⅲ類動詞
不規則動詞
17 サ行変格
活用動詞

*動詞の活用をご覧になりたい方は
以下をクリックしてください。
↓↓↓
動詞の活用・その4

子音動詞母音動詞
の説明が抜けていたので
ここで補足しておきます。

国文法の活用表

(子音語幹) (母音語幹)
未然形 書ka(ない) 食べ-(ない)
連用形 書ki(ます) 食べ(ます)
終止形 書ku 食べ
連体形 書k-u(とき) 食べ-る(とき)
仮定形 書ke(ば) 食べれ(ば)
命令形 書ke 食べ-ろ

子音動詞」「母音動詞」を考える時
語幹を見る必要があります。

語幹とは
「動詞の語彙的意味を表し、形が変わらない部分」
と定義します。

すると、
「書く」の場合、
語幹が子音(-k)で終わっています。

 

 

 

 

 

 

それに対し
「食べる」は
母音で終わっています。
「たべ(b e )る」

 

そこで、
「書く」のような動詞を
子音動詞

「食べる」のような動詞を
母音動詞」とも言います。

分 類 特 徴 日本語文法の名称
規則
動詞
語幹が子音で終わる 子音動詞 Ⅰ類動詞
語幹が母音で終わる 母音動詞 Ⅱ類動詞
不規則動詞 カ変/サ変 Ⅲ類動詞

 

日本語文法と国文法・その1
↓↓↓
国文法と日本語文法・その1

 

言葉の単位・その2
↓↓↓
言葉の単位・その2

 

品詞分類・その3
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品詞分類・その3

 

動詞の活用・その4
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動詞の活用・その4

 

動詞の音便・その5
↓↓↓
動詞の音便・その5

 

 

ではではニゴでした。

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