私の折々の言葉コンテスト
「折々のことば」とは?
「折々のことば」とは
朝日新聞朝刊一面のコラムです。
2015年4月から始まりました。
このコラムは
哲学者の鷲田清一(わしだきよかず)氏
が執筆しています。
鷲田氏の取り上げる言葉は
古今東西の様々な金言から、
なんとツイッターのつぶやきまで、
その幅の広さには驚かされます。
鷲田氏は
言葉について
こうおっしゃています。
「言葉は旧友と恩師と同じで、
出会った頃と
50年付き合ってきた後とでは
魅力を感じるところや
関係の意味が
全然変わってくる。
本当に大切な言葉ほど、
触れた人との関係の中で
進化していきます。」
このように
言葉を大切になさっている
鷲田氏のコラムは
生きている言葉の宝庫で、
時に
心に突き刺さります。
そして
2021年1月6日(水曜日)
の時点で、
このコラムは
2044回目を迎えました。
できれば
終わってほしくない
コラムです。
私の折々のことばコンテスト2020とは?
「私の折々のことばコンテスト」は
鷲田清一氏が選んだ
「折々のことば」
にちなみ、始まりました。
今回で6回目だそうです。
主 催:朝日新聞社
共 催:朝日中高生新聞
特別協賛:Z会、栄光ゼミナール
コンテストの対象者は
中学生と高校生です。
2020年の
心に響いた大切な「ことば」
と
その「ことば」にまつわるエピソードを
鷲田氏の「折々のことば」にならって、
200字~300字で書いてもらいます。
そして
応募してもらった作品の中から
優秀作品を選びます。
今回は
2万9657作品が集まりました。
コロナ禍の中、
多くの作品が
人とのつながりの大切さを
描いています。
今回の
最優秀作品も素晴らしく、
ここで紹介したいと思います。
最優秀賞作品
神奈川県
聖園(みその)女学院中学2年
小倉 蘭(らん)さん
●心に刺さった言葉
私の事を想うなら、
あなたのことを一番大切にしてください。
__母親
●エピソード
私の一番心に残っている言葉は、
緊急事態宣言中に出勤していく
母に言われた言葉です。
私の母は看護師で、
新型コロナの患者を受け入れている
病院に勤務していました。
そのため、
私は、母が出勤することが
毎日心配でたまりませんでした。
母が仕事に行くときには
行ってほしくない気持ちが
ありました。
一方で、
人のために命がけで戦う姿が、
とてもかっこよく見えました。
誇らしい気持ちと、
不安で心配な気持ちが入り交じり、
私は仕事に行く母に、
行かないでとも、
言ってらっしゃいとも言えず
泣かずに見送るのが精一杯でした。
そんな時に母がかけてくれたのが
この言葉でした。
「私の事を想うなら、
あなたのことを一番大切にしてください。」
私は自分の命の重さを知り、
世界で一番温かい愛情を受けました。
鷲田清一賞
埼玉県 久喜市立鷺宮東中学校1年
岡 一綺(いつき)さん
●心に刺さった言葉
よーく見ると、この世界のいろんなところに、
しっぽが出ている。
~ヨシタケシンスケ著
「欲が出ました」から~
●エピソード
僕はこの言葉と、
ヨシタケシンスケさんの
「欲が出ました」
という本で出会いました。
この言葉の
「しっぽ」というのは
面白いもの、
何か世界の秘密みたいなもの
だそうです。
僕はこの本を読んでから
周りを見てみると、
たしかに
しっぽだらけでした。
本のページの隙間や
家の前の用水路、
冷蔵庫の中からなど
人によって
見えてたり
見えていなかったり、
しっぽを引っぱって
その先にあった物は
違うと思いました。
僕はしっぽを引っぱって
現れた物や、
ちょっと強く引っぱりすぎて
しっぽがちぎれてしまっても、
それを
自分に生かせるようにしたいです。
また、
僕は生きていく上で
様々なしっぽと
出会うと思いますが、
その先の物が怖くても
チャレンジしようと思います。
ヨシタケシンスケさんからの返信
面白さ引っ張ってみて
~絵本作家
ヨシタケシンスケさんから~
僕のエッセーの中の「しっぽ」という言葉を
面白がってくれて、とてもうれしい。
「しっぽ」は、
ちらっと垣間見える大きなものの一部を
イメージした言葉です。
例えば、
人の小さな癖や行動など、
その人らしさがのぞく部分がしっぽです。
丁寧にたぐり寄せれば
本体にたどり着けるけど、
乱暴に引っ張ると
切れてしまう。
良いしっぽもあれば、
腹黒いしっぽもある。
氷山の一角の下に隠れた
大きなものは何か、
どんな心理が表れているのか、
常に考え続けることが
大切です。
僕にとって、
スケッチを描くことは
世の中のしっぽを
見つけるようなことなんですよ。
動物で好きなのは
カモノハシの「しっぽ」(尾)。
おしゃもじみたいな
変な形です。
猫のしっぽは、
長くて雄弁なものもあれば、
短いものもある。
しっぽは個性の表れ。
いろんなしっぽを引っ張って、
世の中の面白さを見つける
きっかけになるといいですね。
エッセーは
何気ない日常生活での発見を
つづったものが多く、
世の中のしっぽの見つけ方を
探す助けになるでしょう。
ぜひ、いろんな人のエッセーを
味わってほしいですね。
Z会賞
●心に刺さった言葉
君とお父さん、お母さん、
ここにいる全員で
一つのチームだから、
一緒に戦おう。
=主治医の先生
●エピソード
頭部の手術の前、
手術室で震えている僕に
かけてくれた言葉。
そこにいたチームの全員が
大丈夫のジェスチャーをした。
頭には10センチの傷跡が残ったが、
僕が頑張り、
チームの皆が戦った証しだ。
(この文は要約です)
兵庫県 加古川市立加古川中学校一年
北尾 大珠(たいじゅ)さん
栄光ゼミナール賞
●心に刺さった言葉
最後だとわかっていたなら
=N・Cマレック作
「最後だとわかっていたなら」から
●エピソード
2020年の夏、
熊本豪雨のニュースを見て
母がこの本を貸してくれた。
「明日」を奪う災害は
いつでも起こりうる。
大切な家族や友達といられる、
二度とない「今日」を
後悔のないよう生きたい。
(この文は要約です)
福井県立高志中3年
前田 美緒さん
朝日新聞社賞(1)
●心に刺さった言葉
この数字の数だけ人生があるのにね。
=母
●エピソード
医療現場で働く母が、
テレビの新型コロナの感染者数を
見て言った。
「この数字の数だけ
人生があるのにね。」
数の増減でしか
感じられなくなっていた
ことに気づいた。
ちょうど終戦の日。
大勢の戦争犠牲者の
単なる数字でない人生を
思い浮かべ、
戦争の無い世界を願った。
(この文は要約です)
神奈川県 二宮町立二宮西中学校3年
松田 実怜(みれい)さん
朝日新聞社賞(2)
●心に刺さった言葉
生きていてよかった
=友人
●エピソード
2018年の西日本豪雨で、
祖父母と共に家に取り残され、
暗闇の中、一晩を過ごした。
思い出の品が沈んでいく中、
救助されて運ばれた避難所で
友人が私を抱きしめて
この言葉をかけてくれた。
「生きていてよかった」
生きているありがたさを
実感した。
(この文は要約です)
岡山県立玉島商業高校3年
村山 彩織(さおり)さん
まだまだ、
新聞には記載されていたのですが、
長くなるのでここまでとします。
ではではニゴでした。