奥田正造

奥田正造について

奥田正造先生(1884~1950)は、
東京成蹊高等女学校の校長先生でした。

茶道を基礎に据えた、女子教育を行ったことで有名です。

また、信州を中心に各地で精力的に教育活動を行いました。

奥田正造先生の代表的な著書は 茶味
「茶味」

千利休の詫び茶の精神を汲む
「心の茶」を提唱した茶道理念の結晶
と言われています。

奥田先生のお話し

奥田正造先生のお話です。

「あるとき、仏様が道端に立っていらっしゃいました。

そこへ、一人の男が通りかかりました。
男は荷物をいっぱい積んだ荷車を引いていました。

すると、男の荷車は、ぬかるみにはまってしまったのです。

男は懸命にひっぱりましたが、どうしても、抜け出せません。
汗びっしょりになりながら、必死の形相でひっぱります。

でも、荷車は少しも動きません。

仏様はしばらく男の様子をご覧になっていました。仏様

男が一生懸命に頑張っていたからでしょうか。
仏様は指でほんの少し、男の荷車に触れられました。

すると、荷車はすっとぬかるみから、抜け出たのです。

男は「ほっ」と一息つきました。
そして、また、何事もなかったかのように、
からからと荷車を引き、去っていきました。」

本当の教師とは

奥田先生はおしゃいました。

「こういう行為が、本当の教師の仕事です。
男は仏様の力にあづかったことを、
永遠に知らないでしょう。

自分が努力したからこそ、
抜け出られたと思ったはずです。

努力すればできるのだという、
自信と喜びを得て、
また、車を引いて去ったのです。」

お話の真の意味

荷車は、ぬかるみから出られました。

それが仏様の助けによると知ったなら、
男は心から感謝したことでしょう。

でも、それでは仏様の真意は伝わりません。

仏様は男に、
「一人で生きていく力、強さ」を
身につけてほしいと願ったのです。

仏様の力によって、
ぬかるみから出られたと知ってしまったら、
その力は身に付かないのです。

自分で頑張ったからできた、という
「自信」が大切なのです。

その「自分でできた」という「自信」が、
生きていく力になるのです。

教師の仕事

教師の仕事も同じだと思います。

学生が「自分の力でできた!」という体験を
どれだけ与えられるか、

一生懸命に考えていきたいと思います。

難しいけれど、楽しい仕事ですよね。

ではでは ニゴでした。

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