ラマダンの想い出(バカたれ教師)
ラマダンの時(1)社会人編(素敵な思い出)
かなり前のことです。
某メーカーの研修の一環として、日本語の授業をしていました。
学習者は、みなムスリムの方々で、ラマダンの時でした。
ラマダンも終盤に入ると、精神的、肉体的にもかなりつらくなるのでしょう。
昼休みには、ほとんどの方が 仮眠をとっていらっしゃいました。
午後の授業を始めるときは、
みなさん、朦朧としていて、視線も宙をさまよっています。
でも、いったん授業が始まると、辛いはずなのに、
懸命に授業に取り組んでくれます。
その真摯な姿に、胸を打たれ、身の引き締まる思いがしました。
ラマダンの時(2)学生編(バカたれ教師)
これも随分前のことです。
とある日本語学校で、授業をしていました。
クラスには一人だけムスリムの学生がいました。
授業では、宗教の話はしないので、
彼がムスリムだということは、
私の頭から、ほぼ消えていました。
彼は初級のクラスの学生でした。
その日のレッスンは、
サーティーワンのアイスクリームのメニューを使って、
カタカナ、長音、撥音、促音、拗音などの復習をしていました。
買い物の練習もついでにしていたので、
授業が終わってから、
みんなで、
サーティーワンへ
アイスクリームを食べに行ったのです。
学生たちは一人ずつ張り切って、大きな声で、
難しいカタカナの名前のアイスクリームを注文していました。
授業でさんざん練習したので、
とてもスムーズです。
うれしそうに、注文する姿を見ていると、
こちらまで、心躍ります。
ところが、気が付くと、彼一人だけが、いませんでした。
不思議に思って、親友のB君に聞くと、
「先生、A君は、今ラマダンだから、食べられないんです」とのこと。
ショックでした。
彼は、クラスメートを気遣って、
一人、気づかれないように先に帰ったのです。
何とやさしい人なのでしょう!
それなのに、このバカたれ教師は
授業では、アイスクリームの話題で盛り上がり、
挙句の果て、みんなで食べに行くという、有様です。
お腹がすいて、すいて、辛くて仕方がない
想いをしている学生がいるときに、
教師自らが、率先してのこの暴挙。
今思い出しても、
本当に申し訳なかったと思っています。
学生を常に、一人一人大切にするということは、
何と難しいことなのだろうと、思い知りました。
ラマダンの時期が来ると、いつも彼のことが思い出されます。
ラマダンについて
インドネシアを含め世界中のイスラム教徒が行う断食月
「ラマダン Ramadan (Islamic fasting month)」。
●2015年は6月18日から7月16日まで
30日間にわたって行われます。
ラマダンの約1カ月間、日中の飲食を断ち、神の恵みに感謝します。
イスラム教徒の五つの義務である「五行」の一つです。
五行について
五行(ごぎょう)とは、
ムスリム(イスラーム教徒)に義務として課せられた5つの行為のことです。
(1)信仰告白(シャハーダ)
「アッラーフの他に神は無い。ムハンマドは神の使徒である。」と証言すること。
(2)礼拝(サラー)
一日五回、キブラに向かって神に祈ること。
(3)喜捨(ザカート)
収入の一部を困窮者に施すこと。
(4)断食(サウム)
ラマダーン月の日中、飲食や性行為を慎むこと。
(5)巡礼(ハッジ)
マッカのカアバ神殿に巡礼すること。
ではでは ニゴでした。